ダイワ LTコンセプト総括。

これまでの記事のまとめと、LT – ライト&タフコンセプトの軽量&タフを探ります。

番手表記にスプールサイズの変更に伴う新しいサイズ感の登場。

薄肉アルミ製スプールによる大幅な軽量化、タフデジギアにより耐久性の向上も実現しています。



LIGHT TOUGH 軽量&タフコンセプト

人類がリールという道具を手にして以来、すべての釣り人が抱いてきた夢。
それはLIGHTかつTOUGHなリールを手に入れることではないか。
2018年、DAIWAが新たに掲げるコンセプトは、LIGHTとTOUGHという矛盾する二つの形容詞の間に「&」を成立させた。

“LT” CONCEPT 「LT」コンセプト

軽量化と回転耐久性を両立させるDAIWAの宣言であり、新しいDNA。
私たちはLIGHTそしてTOUGHなリールで、歴代の釣り人たちが見てきた夢を叶えていく。

LT CONCEPT | DAIWA 60YEARS SPECIAL SITE(60周年スペシャルサイト)



LTコンセプトで変わった番手表記・サイズ感

番手表記がシマノに近いものとなりました。

品番表記についてのは以下を参照のこと。

DAIWA : LT(LIGHT TOUGH) – Web site



これに伴い、従来からスプールサイズの変更・追加がみられ、新しいサイズ感のリールも生まれました。

従来機とLT機を比較した記事がこちら

ダイワ 汎用スピニングリールのサイズ感 各番手のボディ構成
ダイワ LTコンセプトリールのサイズ感 各番手のボディ構成
ダイワ LTコンセプト 従来モデルからのサイズ換算
ダイワ LTコンセプトで変わったギア比基準を比較
ダイワ LTコンセプト 巻き上げ長を基に番手サイズ換算
ダイワ LTコンセプト スプールとハンドルの互換性

これらを基にサイズ区分を整理・換算してみました。



<番手サイズ換算表>
従来モデル ボディサイズ LTモデル
1000 (φ40) 1000 LT1000 (φ40)
1000R (φ40) 2500
2000C (φ43) 1000 LT2000 (φ42)
2000 (φ43) 2500
1000 LT2500-C (φ45)
2500 LT2500 (φ45)
2500 (φ48) 2500 LT3000-C (φ48)
2500R (φ48) 3000 LT3000 (φ48)
3000 LT4000-C (φ51)
3000 (φ54) 3000 LT5000-C (φ54)
3500 (φ55) 4000
4000 (φ57) 4000 LT6000 (φ57)

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新しいサイズ区分として、

旧2000番と2500番の間を埋める「LT2500」及びボディを一回り小さくした「LT2500-C」

3000番ボディに旧2500番と3000番の中間サイズのスプールを搭載した「LT4000-C」

が追加されました。

その他、

旧2000番(2000番スプールに2500番ボディ)は廃止され、スプール径を1mm縮小した2000C相当が「LT2000」となります。

旧3500番は4000番と統合して「LT5000」になりました。



【LIGHT】大幅に軽量化された薄肉アルミ製スプール

LTコンセプトのLIGHT要素、軽量化について。

LT機の軽量化には、スプール・サイズ感の見直しの他に「薄肉アルミ製スプール」が大きく貢献しています。

スプールの素材にはより精度の高い加工が可能なアルミ素材を採用。従来よりも更に薄く、形状にも拘った。

LTコンセプトの発表前から「月下美人AIR」など一部の機種に採用され始めた薄肉アルミスプール。

これまでダイワの軽量スプールといえば「エアスプール」でしたが、それを上回る軽さです。

エアスプールはABS樹脂にメッキを施したもので、樹脂とはいえ普通に使って割れることもなく画期的なものでした。

ただ、如何せん高価な代物でスプールのみで一万円以上、汎用モデルではルビアス以上からの採用となり、下位モデルにはまず採用されません。

それが薄肉アルミスプールは、エントリーモデルの「18 フリームス」にまで採用することとなり、大幅な軽量化が図られることとなりました。
(「15 フリームス」から「18 フリームス」でおよそ2/3の軽量化)

これまでダイワの下位モデルに採用されていたアルミスプールは非常に重いものばかりでしたが、軽量な薄肉アルミスプールの採用により、単純な重量減だけでなく、前方(スプール)に寄って先重り気味だったバランスも改善されています。

従来モデルと互換性は失われてしまったものの、その圧倒的な軽さはLTコンセプトの”LIGHT-軽量化”に大きく貢献しています。

ドラグノブの大口径化による操作性の向上、新形状のロングキャストABも若干の飛距離アップがみられ、少なくとも従来より進化しているといえるでしょう。



【TOUGH】 耐久性が向上したタフデジギア

次にTOUGH要素、耐久性について。

耐久性向上の主たる要素は、新設計のギア「タフデジギア」の搭載にあたります。

極めて滑らな回転を長く持続させるデジタル解析・切削技術を結集させた大口径ギヤ。

デジタル解析・切削技術の向上、若干の大口径化により耐久性が向上とのこと。

肝心の材質については、特に明記されていない限り従来と変わらない亜鉛ダイキャストとなります。

ギアの材質は大きく分けて、下位の亜鉛ダイキャストに上位のアルミ・ジュラルミン素材。

正直言ってタフを謳うには些かパンチに欠けます。

これがタフデジギアという名称ではなく、従来から続く「デジギアⅢ」という名称だったのならあまり進化が感じられなかったことでしょう。

タフという分かりやすい単語を用いることによって耐久性に優れた印象を抱かせる、シマノの「HAGANEギア」に倣ったイメージ戦略と思われます。(もっともハガネギアは実際に超々ジュラルミン製ですが)

また、「18 フリームス」で採用された新設計のDS5製ボディはリールフットの剛性が低く、高負荷が掛かると撓んでいるのが分かるほど。

ギアが強くなってもボディがこれでは…といった印象です。

金属(マグネシウム)製のモノコックボディを採用した「18 イグジスト」はLT-ライト&タフに恥じないものですが、それ以外のモデルは従来からさほど耐久性が向上したとは思えません。



まとめ LTの要素はライト8割:タフ2割

ダイワ 60年目の革新ということで大幅に改変されたダイワのスピニングリール。



・番手・品番表記の変更(シマノに合わせた形)

・スプールサイズの変更・追加によりサイズ区分が一新、新しいサイズ感の誕生

・肉薄アルミ製スプールによる大幅な軽量化

・ドラグノブの大口径化、ロングキャストABSの採用

・タフデジギアによる耐久性の向上



LT – ライト・タフについては、大幅な軽量化は図られたものの、耐久性についてはそこまで…といった印象です。

現状でライト・タフと言えるのは「18 イグジスト」のみ。

一応言っておくとその他が耐久性が低いと言っているわけではないので誤解のないように。

下位モデルでさえ従来の中・上位機種に匹敵する軽さになったのは大きな進歩です。

始まったばかりのLTコンセプト。

今後の更なる進化に期待です。