「シマノ 16 アルデバラン BFS XG Fインプレ 前編」の続き、後編。
スプール・ブレーキ回りについて
スプール、ブレーキ回り
ベイトフィネスリールの要、スプール、ブレーキ回りをみていきます。
スプールの取り外し方、サイドプレートの開け方
まずはサイドプレートの開け方から紹介。
サイドプレート後方にロックを解除するレバーがあります。
これをOPEN側に倒すことによってボディとサイドプレートを固定しているロックが外れ、
サイドプレートを外す(回す)ことができるようになります。
あとはサイドプレートを時計回りにスライドさせて引き出すのみ。
これでスプールも取り外せるようになります。
スプールを装着する際は向きがあるので注意。
ボディ、フレーム側の溝(ピニオンギア)にシャフトのピンを合わせる必要があります。
適当に回しながら装着すれば簡単に嵌ります。
FTB(フィネスチューンブレーキシステム)ユニット
サイドプレートに装着されたFTBユニット。
これがこのリール一番の目玉、シマノ独自の新ブレーキ機構です。
FTB(フィネスチューンブレーキシステム)
軽量ルアーを扱うには、スプールの軽量化が最重要課題。
しかし、従来のブレーキシステムには限界がありました。今回シマノが独自に開発した「FTB」は、
スプールからブレーキユニットを排除することにより、
シマノベイトフィネスリール史上最軽量のスプールを実現しました。
さらに、回転数に応じて可変するマグネット移動機構も搭載。ピッチングからオーバーヘッドキャストまで
柔軟に対応可能な新しいブレーキシステムです。
スプールの回転数によって磁石が移動する機構を備えており、
遠心ブレーキの特性(キャスト後半の伸び?)に近づけているとのこと。
詳細はメーカー製品ページを参照
ユニットの側面には磁石を嵌める窪みが4つ、反対側と合わせて計8つあり、
それぞれ磁石を脱着することが可能です。
出荷時は3個×2の計6個が装着済み。
付属の磁石を追加することによってブレーキ力を強めることができます。
サイドプレート内、スプール支持部
ベアリングサイズ:内径3mm × 外径7mm × 厚さ3mm
本体、ギアボックス側
ダイワ製ベイトリールと同じような形状になっています。
ボディから突き出たフレーム
ベースとなった「15 アルデバラン」も同様の形状をしていますが、サイズが異なるようです。
よって15と16モデルにスプールの互換性はありません。
(そもそもブレーキからして違います)
ここでスプール軸のBBを支持します。
ボディ内部への浸水を防ぐ効果もあり。
メカニカルブレーキノブ内
メカニカルブレーキノブ内のBB。
遠心ブレーキのシマノリールはここでスプールシャフトを支えていましたが、
このリールではピニオンギアを支えるのみ。(X-SHIP)
ベアリングサイズ:内径5mm × 外径9mm × 厚さ3mm
ユニットレススプール
文字通りブレーキユニットを廃した無垢なスプール。
シマノ史上最軽量とのことです。(重量は後述)
スプールのブランキング(穴開け)が施されていない範囲に
サイドカバー側のマグユニットを配することでブレーキを作用させるようになっています。
シャフトにはベアリングが入っています。
「16 アルデバラン」はこのBBが軸受けベアリングとなってスプールを支えます。
スプールBBの取り外し方
スプール軸のBBを外すには、スプール軸に圧入されているピンを抜く必要があります。
このピンを抜く専用工具「ベアリングリムーバー」を使ってピンを抜きます。
やり方はダイワ製ベイトリールと同じ要領。
ただし、ダイワのものと違ってシャフトが長いので非常にやりにくいです。
最悪シャフトを曲げてしまう可能性があるので、
手応えが悪い(抜けそうにない)ようなら無理せず止めておきましょう。
ダイワのようにアダプター(ゲタ)に嵌められているわけではないので、
メンテナンスだけならこのままでも出来ます。
ベアリングサイズ:内径3mm × 外径7mm × 厚さ3mm
サイドカバー側と同じサイズになります。
この2つがスプールの回転に大きく影響するベアリングです。
▼該当ベアリング(社外品)
・NMB(ミネベア) DDL-730ZZ
・ヘッジホッグスタジオ 730AIR AIRセラミックベアリング
・K.T.F. IXA 15/16アルデバランBFS用 セラミックボールベアリング
キャスト大きく影響する部位なので、交換するならヘッジホッグかキャリルのセラベアがベター。
スプール重量
では、肝心のスプール重量をみていきます。
■スプール重量(BB込み)
自重:7.8グラム
■スプール重量(BBなし)
自重:7.1グラム
メーカー公表値が7.2グラムなので0.1グラムは誤差。
十分軽い部類に入りますが、発売時期(最新)と構造(ユニットレス)を考えると、
飛び抜けて軽いというわけではありません。
ダイワのアルファスAIRが7.1グラムなので自重は互角です。
材質の差でしょうか。
ダイワ AIRスプール:G1ジュラルミン製
シマノ ユニットレススプール:超々ジュラルミン製(未確認)
「G1ジュラルミン」というのは、
ダイワが開発した?次世代のアルミ合金だそうで一般的な工業製品としての呼称は存在しません。
ファースト・インプレッション
とりあえずベースとなるリールと、軽量スプールを作って、あとはサードパーティ任せ。
そんな印象だったシマノがようやく本腰を入れて開発したベイトフィネスリール。
十八番の遠心ブレーキでは回転数を得られにくく不向きなためか、
マグネットブレーキを採用することとなりました。
マグブレーキ化にあたり、ダイワ・アブっぽくなったため、
ダイワ派としてはかなり親しみやすい構造をしています。^^;(笑)
肝心のマグネットブレーキは”ただの固定マグ”ではなく、
遠心のフィーリングに近づけた(らしい)可変マグブレーキ。
この新ブレーキシステムには期待です。
リール本体は、自重130グラムと、ダイワがNEWスティーズで断念した軽さを実現しながら、
アルデバランシリーズのカッチリ感は健在。(HAGANEボディ:マグネシウム製)
ベースとなった「15 アルデバラン」になかったドラグサウンドも加わり、
非常に魅力的なリールに仕上がっています。
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