サクラマスのルアーフィッシング入門。
まずは基本的なことからサクラマスという魚について、その生態と釣れる時期・場所、必要なタックル類を紹介します。
今回紹介するのは、おおまかな概要。
タックルや釣り方など、細かな内容は別記事にて解説します。
サクラマスってどんな魚?
まずは「サクラマス」という魚について、どんな魚なのか生態などを説明します。
サクラマスは降海型のヤマメ
サクラマスとは、海に降って大きく育ったヤマメです。
サケ・マス類の多くは、降海型と陸封型に分類され、サクラマスのように海へ降りるものを降海型、海へ降りず川で一生を過ごすものを陸封型(河川残留型)といいます。
日本国内で釣れる一般的なヤマメ、アマゴ、イワナは陸封型で、これの降海型がそれぞれサクラマス(ヤマメ)、サツキマス(アマゴ)、アメマス(イワナ)となります。
サクラマスの生態、行動パターン
サクラマスは、ヤマメが海へ下って回遊しながら大きく育ち、産卵のため再び河川に戻ります。
川に遡上してからは基本的に餌を食べないと言われており、ルアーへアタックしてくるのは威嚇行動が主です。
(近年の研究で遡上後にも餌を捕食することが判明しました)
川を遡上(移動)するのは夜間がメインで、日中は休憩・外敵(鳥)から見を守るため流芯下や物陰に潜んで待機しています。
日中休んで夜に動くが基本的なサクラマスの行動パターンとなります。
その他、サクラマスの大きさは40~60センチ。
40後半から50センチ台が最も多く、60センチ超えで大型の分類になります。
(稀に70センチを超えるものも)
サクラマスとサツキマスの違い
出典:釣り人憧れの魚図鑑・サツキマス|ANA釣り倶楽部 │ANA SKY WEB
サクラマスと混同しやすいのがサツキマス。
上で説明した通り、サクラマスはヤマメの降海型、サツキマスはアマゴの降海型です。
サクラマスとサツキマスの見分け方は、ヤマメ・アマゴと同様に朱点の有無。
アマゴにはオレンジ色の朱点が見られ、サツキマスにも薄っすらとですが朱点が見られるようです。
また、サツキマスはサクラマスほど大型化せず、体長は35~50cm程度。
体高も大きさの割にサツキマスの方が厚みがある傾向にあるようですが個体によるため、サクラマスとサツキマスが混在する河川では見分けが難しいようです。
サクラマスのそっくりさん 銀鮭(ギンザケ)
サクラマスに似ている魚として、「銀鮭(ギンザケ、コーホーサーモン)」という魚がいます。
こちらは簡単にいうと養殖魚。
(日本に天然ものは生息していません)
養殖生簀から脱走した個体が本能なのか川に遡上し、サクラマスに混じって釣れることがあります。
銀鮭(養殖魚)の特徴として、
・遡上能力が弱く堰堤や魚道を越えられないため、あまり上流には遡上できない(下流で釣れる)
・野性味を感じない、如何にもな養殖魚といった魚体
・背面、背びれに黒点が見られる
・尻びれ、尾びれの形状、銀色の拡がり方が異なる
初心者には見分けが難しく、サクラマスを狙っている釣り人にとって厄介な外道です。
サクラマスのシーズンと釣れる場所
サクラマスのシーズンは、サクラマスが沿岸に寄る、河川に遡上する2~6月頃。
ショアから釣れる場所は、沿岸か河川内の2択となります。
【沿岸】 北海道の海サクラ
沿岸で釣る代表的なものが北海道の「海サクラ」です。
(海で釣るから海サクラ)
サーフや地磯などからキャスティングで海にいるサクラマスを狙います。
北海道に近い地域では同様に狙って釣れなくもないようですが、魚影は北海道ほどではなく本州のサクラマス釣りは河川がメイン。
反対に北海道では河川でのサクラマス釣りは原則禁止となっています。
【河川】 河川での釣りは漁協の遊漁券が必須
河川内でのサクラマス釣りをするには、各河川を管理する漁協の許可(遊漁券)が必要となり、サクラマス釣りをしてよい時期やルールは各漁協によって異なります。
その他、細かなルールも各漁協、県の内水面漁業調整規則によるため、漁協のWebサイトやパンフレットなどで確認しましよう。
サクラマス釣りの解禁は、早いところでは2月から、3月解禁が主流。
どの河川でもサクラマスが釣れるわけではなく、サクラマスが遡上する河川は限られ、そういった河川は基本的に漁協の管理下にあります。
(天然モノも存在しますが基本的には漁協が放流した稚魚・ヤマメが海へ降り、それがサクラマスとなって帰ってきます)
このように河川でのサクラマス釣りは、(道具代以外に)無料ではできません。
残念ながらルール・遊漁エリアの線引が曖昧な河口から無券で釣ろうとする輩も存在します。
純粋にサクラマス釣りを楽しみたいのなら遊漁券の購入は必須です。
サクラマス釣りに必要なもの
サクラマス釣りに必要なのは、前述の遊漁券とタックル&装備一式。
・遊漁券(鑑札)
川で釣りをするための許可証。
・タックル一式
ロッド、リール、ライン、ルアー、フック、小物など。
・装備一式
ウェーディング装備(ウェーダー)、タックル収納(ベスト、バッグ)など。
【遊漁券】 川で釣りをするための許可証
前述の通り、遊漁券なしでの川でのサクラマス釣りは原則できません。
遊漁券には、当日限り有効の日釣券と、1シーズンを通して有効の年券があります。
日券は1,000円~3,000円、年券(シーズン券)で1万円前後が相場。
購入先は、各漁協、最寄りの釣具店、コンビニなど。
(漁協によって証明写真が必要な場合もあります)
釣り扱い店は漁協のWebサイトなどに載っています。
現場で漁協の監視員から購入することも可能ですが追加料金が発生します。(+千円ほど)
そのため、事前に購入しておくことが基本です。
最近ではスマホで遊漁券が購入・掲示できるアプリ「つりチケ」、「FISH PASS」が登場しました。
GPSによる位置情報を利用できるなど、釣り人・漁協双方にメリットがあり便利なアプリですが、まだ対応している漁協が少ないのが現状です。
基本的に遊漁券はお金を出せば誰でも購入できますが、そもそも遊漁券の購入自体が抽選となる河川もあります。
(例:黒部川、神通川)
抽選な上、遊漁券も2万~3万円と高価なため、完全にやる気のある上級者向けといったところです。
【タックル】 専用タックル以外に流用も可能
次はサクラマス釣りのタックルについて、
サクラマスではスピニングタックルが主流で専用のものはもちろんのこと、他釣種のものを流用することも可能です。
ベイトタックルについては、別記事にて紹介します。
【ロッド】 8フィート前後のトラウトロッドが主流
ロッドは川の規模や使用するルアーなどで変わりますが、8フィート台のネイティブトラウトロッドがスタンダードです。
ロッド説明にサクラマス用とあれば間違いはないはず。
スペックの指標として、
レングス:8フィート台を基準に小場所・ミノーイング主体なら操作性の良い7フィート、遠投が必要なら9フィート台も視野に
ルアーウェイト(キャストウェイト):5~28グラム
他魚種としては、エギングロッド、シーバスロッドなどが流用可能です。
(特にシーバスロッドがオススメ)
ロッドのパワー表記(ML、M、MH)がトラウトロッドと異なるため、ルアーウェイト(キャストウェイト)が近いものを選べば問題ないでしょう。
シーバスロッドならML~Mがぴったりです。
【リール】 3000番の中型リール
スピニングリールは、3000番がスタンダードです。
ダイワ・・・旧番手:2500 / 2500R / 3000、LTコンセプト以降:LT3000-C / LT3000 / LT4000-C
シマノ・・・C3000 / 3000 / 4000
よく〇〇ラインが何メートル巻けるといった表現が用いられますが、上記の番手ならまず巻けます。
リールのグレードは良いに越したことはありません。
【ライン】 PEラインが主流 ナイロンもあり
メインラインは、PEライン+ショックリーダーが主流です。
PEラインの号数の目安は、0.8号~1.5号。
昨今のPEラインなら0.8号でも強度的には問題ありませんが、根ズレやちょっとしたラインの擦れなどを考慮して1号以上が安全です。
これにショックリーダーとしてナイロンかフロロの12-14lbを結束します。
ナイロンラインの目安は、10-14lb(2.5号から3.5号)
こちらは直結(リーダーなし)か、上と同じショックリーダーを結束します。
近年はその感度の高さと飛距離からPEライン+ショックリーダーが主流ですが、ガイドやラインローラーが凍結するなど、気温の低い状況ではナイロンの方がトラブルが少なく有利です。
また、ナイロンの伸びによるバラシにくさなど、それぞれに良さがあります。
【ルアー】 ミノーにスプーン、バイブレーションも
サクラマスに用いるルアーは、大きく分けて以下の3つ。
・ミノー
タイプは、リップの形状、フローティング、シンキング、サスペンドなどさまざま。
よく潜るディープダイバーが主流です。
(バスデイ:「シュガーディープ」など)
・スプーン
ウェイトはもちろんのこと、形状よるアクションなどさまざま。
14g~21g程度のものが主流です。
(ダイワ:「チヌークS」、スミス:「ピュア」、「ヘブン」など)
・バイブレーション
サクラマス釣りにおいて上記ミノー・スプーンほどメジャーな存在ではありませんが、サクラマスに有効で近年注目されているのがバイブレーション。
ウェイトはスプーン同様に14g~21g程度が目安です。
(バスデイ:「レンジバイブ」など)
ルアーはトラウト用のものだけでなく、バスやシーバス用ルアーも流用可能です。
有効レンジ、流れへの強さがあれば専用ルアーに引けをとりません。
【装備】 ウェーダーにベスト、ランディングネットなど
次に川での釣りに必須なウェーディング装備(ウェーダー)や、タックルの収納を兼ねたベスト、ランディングの際に必要なネットなどなど。
【ウェーディング装備】 安価なウェーダーでも十分
河川での釣りに必須なウェーディング装備「ウェーダー」。
材質や丈、ソールタイプなど様々な種類があります。
サクラマス釣りの場合、ポイントを長く移動する(歩く)ことが少ないため、安価なブーツタイプでも十分。
川へ浸かり釣りをするなら時期的にネオプレン製のものでないと厳しいですが、そうでないならナイロン製で問題ありません。
川へ入るかどうかはポイント次第で特にサクラマス釣りでは全く川に入る必要がないポイントも多く、場所によっては長靴で十分なこともあります。
【ベスト】 浮力体の入ったゲームベスト推奨
ルアーケースや小物の収納には、所謂「渓流ベスト」が主流となっています。
もちろんバッグなども可。
なぜかトラウトの釣り全般にはベストが正装となっていますが、ことサクラマスに関しては安全面から浮力体の入ったゲームベスト(フローティングベスト)を推奨します。
まず落水することのない安全なポイントもあれば、一度足を滑らせれば冷たい川へドボンッということも・・・
厚着の上、ウェーダーを履いた状態では思うように水中で動けず、最悪ウェーダー内に空気が入り足先だけが浮き危険な状態に陥りかねません。
【ランディングネット】 定番のウッドネットに玉の柄
いざ魚を掛け、ランディングの際に必要な(こともある)ランディングネット。
サクラマスを始めトラウト用のネットは、木製フレームに染色されたクレモナ糸を用いたネットが主流です。
はっきり言ってこういったネットは見た目・写真映え重視で実用性は低いです。
水面と距離のある足場の高いポイントでは長さが足りず役に立たないため、伸縮する所謂「玉の柄(タモ)」が有効です。
ポイントによって使い分ける、木製ネットは釣れた時用に車に置き、玉の柄を携行するというのも手です。
【小物類】 偏光グラス、プライヤーにラインカッターなど
最後に小物類。
・偏光グラス
・プライヤー(ペンチ)
・ラインカッター
・ラインブレイカー(根がかり外し用)
・ショックリーダー
・予備のフックやスナップ
etc…
上げるとキリがないため、別記事にて紹介したいと思います。