シマノ 「20 ヴァンフォード」ベアリングカスタム。
今回はボディ内部、ウォームシャフト両端にベアリングを追加してみました。
これで+2BB化でき、巻き心地の向上にも期待できます。
必要なベアリングにツール、追加方法を解説します。
ボディ内(ウォームシャフト両端)にベアリングを追加する方法
シマノ 「20 ヴァンフォード」のボディ内(ウォームシャフト両端)にベアリングを追加する方法を紹介します。
必要なベアリングにツール、追加方法を解説。
今回はボディ内部ということである程度リールの分解に慣れている方向けです。
リールの改造はくれぐれも自己責任でお願いします。
必要なベアリング&ツール
必要なベアリング、ツールがこちら。
<ベアリング>
・DDL-520ZZW52
外径5mm x 内径2mm x 幅2.5mm
・DDL-630ZZ
外径6mm x 内径3mm x 幅2.5mm
NMB(ミネベア)のステンレス製ベアリングならいずれも300円しない程度。
<ツール>
・六角棒レンチ 0.89mm
・メガネレンチ 12mm(クランク形状のもの)
・ヘクスローブドライバー T6,T8
・プラス・マイナスドライバー 各サイズ
ボディ内のベアリングにはグリスを充填
今回はボディ内部のベアリングということで、ベアリングの注油にはグリスを用います。
(回転性能より持続重視)
どちらもシールドベアリングなので専用のツールを使ってグリスを充填します。
1.ドラグノブからローラークラッチまでを外す
それではボディ内への追加方法を解説。
ヴァンフォードのボディを開くには、まずローターなどを外す必要があります。
ドラグノブ、スプールを取り外し、次はスプールシャフト(メインシャフトベアリングガイド)。
スプールシャフトを外すには、メインシャフトに固定しているイモネジを抜く必要があります。
そのままではワッシャーが干渉してしまい抜けないので、ワッシャーを1,2枚ずらすか、すべて外してしまいましょう。
六角棒レンチでイモネジを外します。
外したスプールシャフト一式がこちら。
(外したイモネジを写し忘れました、六角棒レンチに刺したままにしておけば再装着も簡単です)
次にリテーナーを固定しているネジを外します。
これでリテーナーとローターツバが外せます。
次はローターナット。
パッキン(シール)毎12mmのめがねレンチでナットを緩めて外します。
これでローターが外せるようになりました。
(ローター裏側にローターカラーが着いたまま外れることもあります)
次はフリクションリング。
フリクションリングはゴムのような素材で嵌っているだけなので、マイナスドライバーなどを隙間に挿して拡げて外します。
次にローラークラッチを固定しているネジ3本を外します。
これでローラークラッチが外せるわけですが、外す際はローラークラッチ内の部品がバラバラにならないように注意しましょう。
(ローラーを留めているプレートは本体に固定されていません)
現行シマノのローラークラッチは内部のローラーが分解の際に誤って抜け落ちてしまいやすいため、ローラークラッチを下に向けて引き抜くと安全に外せます。
ここまでで外れる部品がこちら。
(スプール側が下を向く形で並べています)
一番右のローラークラッチインナーは、ローラークラッチに着いたまま外れてきやすい部品です。
ドラグノブからローラークラッチまでの分解はここまで。
次はボディです。
2.ボディを開ける
まずボディ下部のボディガードを外します。
ボディガードを固定しているネジ1本をT6のヘクスローブドライバーで外すのみ。
そしてボディを固定しているネジ4本を外します。
右側に3本(内1本はT8のヘクスローブドライバーが必要)
左側にも1本あるので忘れずに。
これでようやくボディを開けることができました。
ボディを開ける際の注意点として、ドライブギアの軸・歯が干渉してすんなりとは抜けないはずです。
少しズラすように動かしながら抜くと外れるので、くれぐれも力づくで強引に引き抜こうとしてはいけません。
3.ウォームシャフト両端のカラーをベアリングに交換
ボディが開けたところでいよいよベアリングを追加するウォームシャフト周りを分解します。
まずはボディ外側後方のネジを外します。
これで固定されていたカバーが外れ、ベアリングに置換するカラーが見えます。
が、ここでは交換せず次に。
ボディ内部に戻ってウォームシャフト上方の振動子ガイドを引き抜きます。
(スプール側に抜けます)
これでメインシャフト組・ウォームシャフトピンの固定が解けるので下側に動かし、ウォームシャフト一式を取り外します。
ドラグ側・ウォームシャフト前側にあるカラーは、ボディ内部に収まったままウォームシャフトと一緒に外れにくいと思いますのでピンセットなどを使い個別で外します。
ベアリングに交換するのがウォームシャフト両端の白い樹脂製のカラー。
ちなみに前モデルである「16 ストラディックCI4+」では前方のカラーはベアリングに交換できませんでした。
まず、ウォームシャフト前方に位置するベアリング(DDL-520ZZW52)をボディ内に嵌め込みます。
次にウォームシャフトギア(黒い樹脂製ギア、向きに注意)、ウォームシャフト本体を嵌め込みます。
ウォームシャフトギアの窪みにウォームシャフトの突起を合わせて嵌め込みましょう。
そして、ボディ外側からウォームシャフトの後方に座金2種、ベアリング(DDL-630ZZ)を入れます。
あとは後方のカバーを留めてウォームシャフト一式を固定。
分解したときと逆の順序で組み直して完成です。
組み込む際はローラークラッチの向きに注意
組み直す際はローラークラッチの向き、前述の通り誤ってローラーが抜けてしまわないように注意しましょう。
赤丸がネジ穴、青丸がダボ穴です。
ローラークラッチ、ボディそれぞれの穴をよく確認して組み込みましょう。
ウォームシャフトピンへのBB追加は不要
ちなみに「15 ストラディック」、「16 ストラディックCI4+」ではベアリングを追加したウォームシャフトピン。
分解してみたところ、「20 ヴァンフォード」でもベアリング(DDL-520ZZW52)が入ることは入りそうです。
しかし、厚みがストラCI4+以上に違うため、かなりの隙間ができてしまいます。
隙間をワッシャーなどで埋められなくはないですが、従来型からOリングが追加された純正カラーの方が収まりが良さそうです。
この部位には上位モデルである「18 ステラ」や「19 ヴァンキッシュ」ですらベアリングは入っておらず、同じ部品が使われています。
ベアリングに置き換えたところでプラス要素は薄く、むしろ不要なノイズなどを生じさせる原因になり得なくもないので追加しない方が懸命でしょう。