ロックフィッシュ用ベイトキャスティングリール、ダイワ 「20 HRF PEスペシャル 8.1L-TW」のファースト・インプレッション。
剛性に優れたアルミ製ボディ(メインフレーム&ギアボックス側サイドプレート)に、φ34mm 超々ジュラルミン製スプールを搭載。
ラインの食い込みを防ぐハイスピードレベルワインドに、ブレーキはマグフォースZ PEロングディスタンスチューンを採用し、PEに特化したリールとなっています。
ダイワ 20 HRF PEスペシャル 8.1L-TWのスペックと特徴
会心の一撃。卓越した遠投性能を誇る進化したHRF®。
ベイトキャスティングリールに求められる遠投性能とパワフルな巻上げのきわだつ性能にフォーカスした専用機。マグフォースZ PEロングディスタンスチューンとTWSとの相乗効果で卓越した遠投性能を追求。Φ34mm超々ジュラルミンスプールのラインキャパはPE2号-150m。パーミングしやすいコンパクトボディはアルミフレーム・アルミサイドプレートで万全の剛性を確保。掛けた瞬間のひと巻き目が勝負であるロックフィッシュゲームにおいて、根から引き離し主導権を握るギア比8.1。ドラグはATD、更にドラグ引き出しクリックを搭載し、実戦での使用感を向上。
<スペック>
品名 | 巻取り長さ | ギア比 | 自重 | 最大ドラグ力 | 標準巻糸量 | ハンドル長 | ベアリング | 本体価格 |
8.1R-TW | 86cm | 8.1 | 195g | 5.5kg | PE 2号150m | 100mm | 7/1 | 34,000円 |
8.1L-TW | 86cm | 8.1 | 195g | 5.5kg | フロロ 14lb-100m | 100mm | 7/1 | 34,000円 |
出典:DAIWA : HRF® PE スペシャル – Web site
<付属品>
付属品は取扱説明書のみとシンプル。
外箱と取説にHRFのロゴが印字されているのが良いですね
【カラーリング】 ブラック×メタリックレッド
ボディーカラーは、メインフレームとブレーキダイヤル側サイドプレートがツヤありブラック、ギアボックス側サイド&フロントカバーがメタリッグレッドとなっています。
前モデルのディープレッドからメタリック系へとカラーチェンジしました。
実際に使っている(握っている)際に見える部位は、レッドがほとんど。
メタリックレッドの色味は、製品ページの写真ほど明るくなく、ディープメタリックレッドといった感じ。
某スコー○オンレッド風ですが、赤はHRFのブランドカラーです。
【ボディ】 スーパーメタルフレーム&ギア側サイドプレート
ベースとなっているリールは、「19 タトゥーラ TW」。
「20HRF」では、メインフレーム&負荷の掛かるギアボックス側サイドカバーにスーパーメタル(アルミ)を採用。
ベースリールからギアボックス側サイドカバーがアルミになったのは大きいですね。
強い負荷の掛かるロックフィッシュにおいて、高剛性アルミボディは欠かせません。
続いてパーミングカップ側サイドカバー。
こちらは明記されてはいないものの、高強度樹脂製でしょう。
こちら側は気持ちの問題なところが大きく、剛性面では問題ないでしょう。
ブレーキダイヤルはこれまでのタトゥーラシリーズと同等。
今まではなかったダイヤル位置を示す白い点が個人的に不要です。
裏から。
写真だと見えにくいですが、水抜き穴(スリット)あり。(これは標準仕様)
製造は、MADE IN THAILAND タイ製となります。
【パーミング性】 初代タトゥーラ、モアザンPEとボディ比較
「初代14タトゥーラ」、「19モアザンPE」とボディサイズを比較してみました。
横幅自体は初代タトゥーラとそれほど変わっていません。(モアザンPEも同等)
一番の違いは、ボディの厚み。
初代と比べると全体的に薄く角張った感じが取れてコンパクトになり、パーミング性が向上しています。
気になったところとして、クラッチは相変わらず安物臭く見えるプラッキーな質感。
SLPからカスタムパーツが発売されてくれないものかと期待していましたが、ボディまで分解しないと交換できない部位のためか出ませんね。
100mmロングクランクハンドル&パワーラウンドEVAノブ
ハンドルは、100mmのロングクランクハンドルにパワーラウンドEVAノブを採用。
ロックフィッシュ用途に適した長さ、ノブの仕様です。
ATDにドラグクリッカーを搭載
ドラグは前モデルがUTDだったのに対し、「ATD」を採用。
ダイワのベイトリールはUTDとATDを使い分けており、基本ドラグを締めて使うロックフィッシュになぜATDなのかは謎です。
個人的にはドラグをあまりキツく締める方ではないのでATDでも問題なし。
(ATDの良さはキャタリナICなどで体感済み)
こちらも用途からいって必要性を感じませんが、ドラグ引き出しクリック音(ドラグクリッカー)を搭載しているのは嬉しい仕様です。
スタードラグはZAION製でクリック音あり。
気になったのは、UTDでは「ULTIMATE TOURNAMENT DRAG」と印字していたのに対し、ATDは「AUTOMATIC DRAG」ではなく、そのまま「ATD」と印字しているのはちょっと寂しいです。
ゼロ設定を維持するゼロアジャスターを搭載
今や標準仕様となりつつあるゼロアジャスター。
ゼロアジャスターは、ダイワが推奨するメカニカルブレーキの”ゼロ設定”を維持、ノブの誤操作を防ぐための機構。
初期出荷時にゼロ設定に調整され、基本的にはイジる必要がなく、触らないことを推奨しています。
大層なネーミングに特殊な機構と思われるかもしれませんが、その実回しにくくなっているだけでキャップは普通に外れます。
通常ゼロアジャスターのノブキャップは固くて回りにくいらしいのですが、この個体は従来どおりの感覚で回りました。
(固着しているような感じで一度動かすと回りやすくなる?)
このゼロアジャスター、シャフトレスのリニアシャフト機なら基本的にOH以外で触る必要がありませんが、HRF(非リニアシャフトのタトゥーラベース)の場合は、キャスト性能維持のためのメンテ、スプール軸BBの注油に外す必要があります。
相変わらず注油しにくい構造となっていますが、スプレーノズルに一滴乗せて垂らす要領で注油すれば問題ないでしょう。
初代タトゥーラからボディを分解しないとベアリングが外せない仕様をなぜ改善しなかったのか…。
ライン放出性能の高いTWS-Tウィングシステムを搭載
すっかり定着した「TWS-Tウィングシステム」。
ライン放出性能を高める本当に良い機構です。
ラインの食い込みを防ぐハイスピードレベルワインドを採用
PEスペシャルという名を冠している要素の一つがこの「ハイスピードレベルワインド」。
通常より早くレベルワインダーが左右に動くことでラインがスプールに斜め気味に巻かれ(クロスラップ)、ライン同士の食い込みを抑制します。
特にナイロンやフロロに比べて細くコシがないPEラインではラインが食い込みやすいため、ハイスピードレベルワインドの効果は大きいです。
デメリットは、ラインの放出がやや悪く、スプールに綺麗に巻かれにくいといったところでしょうか。
200グラムを切る軽量リール
総重量:194.8g
カタログスペック通りの数値、200グラムを切る重量は良いですね。
ハンドルで重量増となっているはずですが、19タトゥーラと変わらないのはどこかで軽量化は図られているのでしょう。
前モデル(225g)から30グラムも軽量化されているのは大きいです。
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スプール・ブレーキの仕様をチェック
キャスト性能に大きく関わるスプールとブレーキシステムをチェック。
φ34mm 超々ジュラルミン製スプール
20HRFは、φ34mm 超々ジュラルミン製スプールを搭載。
アルミ → 超々ジュラルミン → G1ジュラルミンとグレードが上がり、超々ジュラルミンは軽さ・強度に優れた中間的なグレード。
価格帯的にこんなものでしょう。
また、前モデルのスプール径はφ36mmでしたが、34mmに小口径化され、スプールのレスポンスが良くなっています。
軽めのウェイトも扱いやすくなっていることでしょう。
スプール重量は約17グラム
自重:15.7g
思ったよりは軽くありませんでしたが、まぁこんなものかと。
タトゥーラCT、19タトゥーラのスプールと互換性あり
手持ちの「タトゥーラCT」との比較。
スプール径:φ34mm、スプール幅:25mmと同サイズ。
「タトゥーラCT」と「19タトゥーラ」にスプールの互換性があるようなので、この「20 HRF」とも互換性がありそうです。
尚、「20 タトゥーラSV TW」とはスプール径が異なるため互換性はありません。
また、写真が不鮮明で分かりにくいかと思いますが、HRFの方にはスプールの縁にエッジがあり、若干糸巻き面が狭くなっています。
段差を設けることでスプールとボディとの間にPEラインが入り込みにくくしているのでしょうか。
マグフォースZ PEロングディスタンスチューンの仕様
最後に「20 HRF PEスペシャル」のPE要素、「マグフォースZ PEロングディスタンスチューン」の仕様について。
ダイワのベイトリールでは、スプールに装着されているインダクトローターの仕様でブレーキシステムが分けられています。
サイドカバー側は、マグネットブレーキ(磁力)の強さで基本固定。(磁力が異なるものもあります)
「20 HRF」の仕様はというと、ノーマル(タトゥーラCT)と比べると、
・インダクトローターの厚み
・スプリングの強さ
の2点が異なります。
まず、インダクトローターの厚み。
ノーマルに比べて厚くなっています。
厚みがあるということは、その分だけ作用する磁力の影響も大きく、ブレーキが強くなります。
次に可変式インダクトローターのスプリング(バネ)の強さ。
可変式のインダクトローターは遠心力でローターが外に飛び出し、飛び出し具合でブレーキの掛かる範囲を調整しています。
このローターの飛び出し具合に影響するのが、ローター内部のバネの強さ。
20HRF(マグフォースZ PELDチューン)の方がノーマルに比べて若干弱いものが使われているようです。
理屈ではバネが弱いとローターの戻りが遅くなり、キャスト後半にもブレーキが掛かりやすくなるはず。
ロングキャストを意識したHLCのバネは強いようなので、「20 HRF」マイルドな設定にしているのでしょうか。
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ファースト・インプレッション
それでは、実釣もとい試し投げしてみたファースト・インプレッション。
ラインは高比重PEライン「オードラゴン」の1.5号を150m
ラインは、よつあみの高比重PEライン「オードラゴン」の1.5号を150m巻いてみました。
空転防止に僅かなナイロンを下巻きした上に巻いてみたのですが、けっこうギリギリ。
カタログスペックでのラインキャパは、1.5号-180mなのでもう少し余裕があってもいいはずですが。
しかも右に偏って巻かれてしまいました。
一度やり直して若干改善されましたが、偏って巻かれたのはハイスピードレベルワインドの影響でしょうか。
【試し投げ】 ブレーキはそこまで強くない…?
8~26gのルアーを試投してみました。(10~14gがメイン)
インダクトローターの仕様からブレーキが強いものと思っていましたが、これまでのリール(ジリオンSV)などと比較するとダイヤル2つ分ほど弱い印象。
公式はダイヤル10を推奨、8が着水サミングのみで何とかといった感じで、それ未満はラインが浮きやすくバックラッシュしやすい印象でした。
用途からいって推奨通りダイヤル10でブン回すのが良さそうです。
その他、ミノーを巻いた程度ですが巻き心地は可もなく不可もなしといったところでした。
手を出しやすいPE特化ベイトキャスティングリール
「ハイスピードレベルワインド」に「マグフォースZ PEロングディスタンスチューン」を採用したPE特化のベイトリール。
PE特化要素に200グラムを切る軽さ、TWS、ソルト対応。
実売2万円半ばでこれだけ揃っていれば申し訳ないでしょう。
マイナス面はメカニカルブレーキノブ内ベアリングへのアクセスの悪さくらい。
ロックフィッシュ用ということになっていますが、シーバスにも全然ありだと思います。