ダイワ 「21 ジリオン SV TW 1000HL」のファースト・インプレッション。
前モデルからガラリと変わったNEWジリオンSV。
その特徴とスペック、各部の重量などを前モデルと比較しつつチェックしてみました。
なお、実釣はおろか、試し投げすらできておりません。
DAIWA 21 ZILLION SV TW 特徴とスペック
次世代両軸ベイトリール HYPER DRIVEデザイン採用 タフバーサタイルリールの真打登場
HYPERDRIVEデザインによる高い基本性能が永く続くことを目指し、全ての基本性能の水準を大幅に高めた設計思想の次世代ベイトリールが登場。
HYPERDRIVE DIGIGEAR搭載で、強く滑らかな回転を実現し、HYPER ARMED HOUSING(FULL AL)でコンパクトながら、強靭なボディ剛性を実現。
タフバーサタイルリールの大本命といえるジリオンシリーズの真打ちともいえる存在。
キャストアキュラシーもスプールφ34mmSVBOOSTスプールを搭載し、軽量ルアーから重量級ルアーまでの幅広いルアーウエイトに対応することは勿論新たなBOOST機構により、より飛距離向上といったキャスト性能の向上まで図られている。
ラインナップ・スペック表
ラインナップは、4種のギア比(P:パワーギア、無印:ノーマルギア、H:ハイギア、XH:エクストラハイギア)に左右ハンドルで計8機種。
品名 | ギア比 | 巻取り長さ | 自重 | 最大ドラグ力 | 標準巻糸量 | スプール径 | ハンドル長さ | ベアリング | 本体価格 |
1000P/1000PL | 5.5 | 59cm | 175g | 5.0kg | 14lb/45-90m、16lb/40-80m | φ34mm | 90mm | 8/1 | 42,800円 |
1000/1000L | 6.3 | 67cm | 175g | 5.0kg | 14lb/45-90m、16lb/40-80m | φ34mm | 90mm | 8/1 | 42,800円 |
1000H/1000HL | 7.1 | 76cm | 175g | 5.0kg | 14lb/45-90m、16lb/40-80m | φ34mm | 90mm | 8/1 | 42,800円 |
1000XHL/1000XHL | 8.5 | 90cm | 175g | 5.0kg | 14lb/45-90m、16lb/40-80m | φ34mm | 90mm | 8/1 | 42,800円 |
従来モデルからギア比の型番表記が変わりました。
だいたい一段回ずれ、従来のノーマルギアがパワーギアに、ハイギアがノーマルギアに、今回購入したH:ハイギアは従来のSH:スーパーハイギア相当のギア比・巻取り長さとなります。
付属品は取説のみ
・リール本体
・取扱説明書
・アンケート登録ハガキ
展開図・パーツリストは付属されておらず、スピニングリールのようにパーツ検索システムで調べて下さい、ってことでしょう。
ただし、発売後しばらく経たないとパーツ検索システムにデータがアップされませんので注意。
12/19現在、NEWジリオンは登録されているものの、肝心のデータは未記載です。
【デザイン】 シンプルなシルバー基調
まず外見ですが、これまでのダイワ製ロープロベイトには見られなかったシルバー基調のシンプルなデザインとなりました。
(若干ガンメタ寄りのシルバーといった色味)
あまりダイワっぽくない(むしろシマノっぽい)デザインですが、個人的にはシンプルで好みなカラーリングです。
また、新型アルファス同様に、ネジが外部に見えない構造となっています。
ちなみにネジはトルクスになっており、分解にはT10のヘクスローブドライバーが必要になります。
(ドライバーはある程度長いものでないと入らないので注意)
HYPER DRIVE DESIGNにより一新されたNEWジリオン
2021年発売の新型ベイトリールに新たに採用されたコンセプト『HYPER DRIVE DESIGN ハイパードライブデザイン』。
強く、軽く、滑らかに。
初期性能が長く続くことを目指した設計思想で、これによりキャストに関わる性能だけでなく、リール本体の性能が大幅に向上しているようです。
【ボディ】 高剛性フルメタルハウジング
NEWジリオンは、「HYPER ARMED HOUSING (AL)」を基にメインフレーム、ギア側サイドプレート、セットプレートがアルミ製のフルメタルハウジングボディを採用。
勘違いしやすい注意点として、スプールを支持するセットプレートは金属ですが、パーミングカップ、フロントカバー、そしてサムレストは樹脂製となっています。
円形部分が金属製のセットプレート。
外装となるパーツ(パーミングカップ)は樹脂製です。
更にこれまでにみられなかった(はず)構造として、サムレストが別パーツ化しています。
従来はメインフレームと一体化した構造がほとんどでした。
別パーツ化することでサムレストのみを樹脂製に置き換えることで軽量化が図れ、また、メインフレームはそのままにサムレストの形状を変えられるなど、デザインの自由度も上がっています。
これら構造の実用上の地味なメリットして、フルメタルボディでありながらボディが冷たくありません。
ギアやスプールを支える部位をすべて金属製にすることで高い強度・剛性・精度を確保。
パーミング時に実際に手に触れる部位のほとんどは樹脂製のため、フルメタルハウジングボディでありながら冷たくないのは地味に大きなメリットです。
特に冬場の体感差は大きく、軽く触っただけでも温度差がはっきりと分かります。
20g減 フルメタルボディでありながら175gを実現
実測自重:175.4g
メイン:アルミ、サイド:高強度樹脂製の前モデルが195グラム。
NEWジリオンはフルメタルハウジングボディでありながら20グラム減の175グラムを実現しています。
ハイパードライブデジギア
ギアには、「HYPERDRIVE DIGIGEAR ハイパードライブデジギア」を搭載。
新設計のギアシステムで、「耐久性に直結するギアの歯のモジュール(大きさ)は小さくせず噛合い率アップを達成し、 初期の滑らかさが長く続くことを実現」とのこと。
シマノのマイクロモジュールギアを皮肉ったような説明ですね。
ギアの材質はリール重量からいってジュラルミン製でしょう。
90mmのアルミ製クランクハンドル
ハンドルはアルミ製クランクハンドルを採用。
長さはギア比を問わず90ミリ固定です。
ちなみにハンドルノブ内は各1BBとなっており、ベアリングを追加することで2BB化可能です。
<ハンドル重量>
ハンドル本体:11.2g
ハンドルノブ:3.8g
調整不要 ゼロアジャスターを搭載
最近のスタンダードとなっている「ゼロアジャスター」を搭載。
出荷段階でメカニカルブレーキが最適なゼロ設定に調整されています。
勘違いしやすい点として、ゼロアジャスターはあくまで動きにくいメカニカルブレーキノブなだけで普通に調整可能。
オーバーホールなど、分解時には各自で調整する必要があります。
稀に出荷段階でゼロ設定になっていないものもあります。
【ドラグ】 UTDにドラグ引き出しクリック音有り
ドラグはスタンダードな「UTD-アルティメットトーナメントドラグ」を採用。
嬉しいことにドラグ動作時に音の出る、ドラグ引き出しクリック(ドラグクリッカー)を搭載しています。
スタードラグはZAION製のロングアームタイプ。
もちろんクリック音も付いています。
耐久性に優れたハイパータフクラッチ
クラッチには「HYPER TOUGH CLUTCH ハイパータフクラッチ」を採用。
「T3」あたりから新規採用されるようになった「ソルトバリアタフクラッチ」と「タフ&リジッドクラッチシステム」の名称変更・統一と思われます。
海水使用時の絶縁云々もありますが、従来のダイワ製ベイトリールのクラッチから耐久性が大幅に向上しました。
従来のリールはクラッチが軽く押しやすいものの、半クラになりやすかったりと、頻繁にクラッチのON/OFFする釣りではすぐにダメになることがありました。
ここ最近のベイトリールではみられないので大幅な耐久性の向上がみられます。
ちなみにクラッチの形状はシマノ製ベイトリールに多く見られる左右非対称に。
個人的には従来どおりの左右対称のものが変にクセがなくて好みです。
安心の日本製 MADE IN JAPAN
前モデル(16 ジリオンSV TW)はタイ製でしたが、NEWジリオンは日本製となりました。
個人的に生産国に特にこだわりはなく、ハイエンド機種でなければ特に気にしないのですが、どうせなら国産の方が当たり外れが少なく良い印象です。
【キャスタビリティ】 新型『SV BOOST』
次にキャスティング性能の要となるスプールとブレーキについて。
従来のダイヤルネジ式からスイッチオープン式になり、簡単にスプールを取り外せるようになりました。
NEWジリオンは新型の「SV BOOST」を初搭載。
期待のNEWシステムです。
φ34mm G1ジュラルミン製 SVブーストスプール
スタンダードなφ34mm径のSVブーストスプール。
材質は最上位であるG1ジュラルミン製です。
なお、「スティーズ LTD SV TW」に搭載されているスプールとの違いは不明。
トラブルレスと飛距離アップを実現する「SV BOOST」
基本的にブレーキ調整の仕様・システムは、スプールユニットが担っています。
期待の新型「SV BOOST」。
■SV BOOST
爽快なキャストフィールとトラブルレス性を高次元で両立し、飛距離アップを果たした次世代SVコンセプト。 従来、1段階の作動だったインダクトローターのストロークを伸ばし、2段階目のストロークを実現。低回転時には1段階目のストロークのみで適度なブレーキを効かせ、フルキャスト時には2段階をフルに活かした最適なブレーキ後に、1段階戻ることで弾道後半は弱いブレーキ力をキープ、結果、キャスト後半の伸びを得られ、飛距離アップに貢献した。
まず、インダクトローター反対側のベアリングについてですが、従来と変わらずゲタを履かせたタイプ。
新たにスプリングとパッキンが追加され、ベアリングのブレ・振動を抑える構造となっています。
シマノでいうところのサイレントチューンですね。
インダクトローター側のスプールシャフトにもパッキンが追加されています。
そして肝心のインダクトローター。
新たにワッシャー?とスプリングが追加されたことは分かりますが、手で引っ張った感じでは今ひとつ構造が掴めず…。^^;
ちょっと触ってみた程度では2段階ストローク云々はよく分かりませんでした。
こればかりは実際にキャストしてみないと分かりませんね。
構造の問題は素人がどうこう言っても仕方ないのでメーカーの説明をどうぞ。↓
参考:BOOST SYSTEM(ブーストシステム)|DAIWA
【重量】 前モデルから若干の重量増
自重:13.4g(BB込み)
前モデルがBB込みで12gなので1グラム増。
インダクトローター周り複雑化が要因となっているのでしょうか。
ベイトフィネスリールではないのでそこまで大きな影響はないでしょう。
これまでの同径スプールと互換性あり
気になる互換性ですが、新型といっても寸法に変わりはなく、これまでの同径(34mm)スプールと互換性があります。
従来機にこのSVブーストスプールを装着することもできれば、このNEWジリオンに従来のスプールを装着可能です。
誤操作しにくいブレーキダイヤル
ブレーキダイヤルはパーミング時に誤操作しにくい位置に配置。
ダイヤルは20段階で2刻みに印字有り。
昔は印字のないものが定番でしたが、やはり数値があった方が調整の再現性が高いです。
【ファースト・インプレッション】 欠点のない次世代スタンダード
予想以上の進化を遂げたNEWジリオン。
前モデルの時点で実釣において特に不満なく優秀だったリールがフルメタル化しながらも更なる軽量&コンパクト化を実現し、その上SVスプールも「SV BOOST」へ進化。
スタンダードなφ34mm径バーサタイルリールとして申し分のないものとなっています。
フルメタルハウジングのタフリールでありながらボディが冷たくないのも良いですね。
肝心のSVブーストの使用感を確かめるため試し投げしたいところでしたが、ちょっとここ最近の荒天で難しい状況です。
たぶん感想としては「従来機で強く感じられた後半のブレーキが弱まった」とかになるかと。^^;
空回しの巻き感は、寒さのせいなのかグリスが固く感じられ、やや重い印象。
(しっかりとした巻き心地とも言える)
少なくとも前モデルで気になることのあったカチャカチャ感はなくなりました。
まだ使っていないリールですが、買って後悔することのない鉄板リールに仕上がっていると思います。
ダイワ 21 ジリオン SV TW 1000P/1000PL
ダイワ 21 ジリオン SV TW 1000H/1000HL
ダイワ 21 ジリオン SV TW 1000XH/1000XHL