良い意味でも悪い意味でも話題になったベイトリール、
ダイワ 「T3 1016SHL-TW」のインプレです。
ロックフィッシュ用にSH(スーパーハイギア)を選択、
珍しく発売直後に購入しました。(これがダメだったんですけどね・・・)
ロックフィッシュ、エギング用にフロロ、PEラインを巻いて使用しました。
投げたルアーの重さは1/2oz(14g)以上、これより下は投げていません。
■ダイワ T3 1016SHL-TW
メーカーHP:「T3 T3SV」、「T3 AIR」、「T3 MX」
<スペック>
●標準自重:180g
●ギヤー比:7.1
●巻取り長さ:75cm
●最大ドラグ力:5kg
●標準糸巻量:12LB-135m、16LB-100m、PE1.5号-200m
●ボールベアリング入数:8
●ローラーベアリング入数:1
●スプール径:34mm
●TWS(Tウイングシステム)
●マグフォース3D
●UTD(アルティメットトーナメントドラグ)
●ザイオン(ZAION)
●タフデジギヤ
●ハイスピードレベルワインド
●ウォッシャブル(ソルト対応)
●ソルトバリアタフクラッチ
製造国は、Made in Thailand タイ製です。
購入したのは初期版のシルバーの「T3」、
後にベイトフィネス版の「T3 AIR」、廉価版の「T3 MX」、
SVスプール搭載の「T3 SV」が発売されました。
それでは、各部詳細とインプレ。
▼サイズ比較
「アルファス 103L」と比較。
ぱっと見は同じくらいに見えますが、握ってみるとT3は薄く横に広いことが分かります。
TWSの影響か、横幅がけっこうあって思ったより小さくないです。
パーミングはやりやすく、今までスリーフィンガーでパーミングのやりにくかった
ACSリールシートが妙にフィットしました。
横から
かなりのロープロでグリッピング時では、TDジリオンより4.4mm低くなっています。
(T3 CONCEPT FILEより)
ブレーキダイヤルは奥まった位置にあるため、やや操作し辛いですが、
反対に従来のダイヤルのようにパーミング時につかえて動くといった心配がありません。
下の三角形のボタンを押しながら下にスライドさせることでサイドプレートが外せます。
▼TWS(Tウィングシステム)
本機の目玉である「TWS」の要、「Tシェイプレベルワインド」
キャスト時はTの-の部分、リトリーブ時は上部のバーがラインを抑えて溝に誘導します。
このシンプル過ぎる単純な構造、もう少し何とかならなかったものか。
ある程度ラインにテンションが掛かっていないと、
巻き始めにラインがレベルワインドにうまく収まりません。
クラッチ連動パーミングプレート、通称“パカパカ”。
パーミングプレートを指で押さえることでクラッチを切ることが出来ます。
便利そうなのですが、手の小さな自分には微妙に届かず、半クラになってしまいがち。
下から
写真上部のレバーでマグフォース3Dの切り替えが出来ます。
「マックスブレーキ」-「オールラウンド」-「ロングキャスト」
リールフットが薄いせい?幅が狭いためか、従来のリールフットと比べて遊びがあり、
リールシートによってはかなり締め込まないとガタつきます。
このためにラバーシールが付属されているのですが、
所詮シールなので取り外しを繰り返すとずれて簡単に剥がれてしまいます。
▼ハンドル周り
80mmクランクハンドル
「T3 SV 8.1-TW」と「T3 MX 1016XH」は同90mmクランクハンドル。
メカニカルブレーキノブとスタードラグはクリック付き。
スタードラグは樹脂製です。
横幅が広いため、パーミングしたまま片手でスタードラグ回す動作がやり辛いかと思われます。
(自分はどの道届かないのでどうでもいいですが)
<各重量>
▼本体重量
約180g
概ねカタログ通りです。
▼スプール重量
RCS 1016 – リアルプレシジョンスプール
自重:約15g(ベアリング込)
最近のスプールが軒並み10g前後と軽くなっているので、重いと思われるかもしれませんが、
ダイワのスプールとしては十分に軽い方です。
(参考までにスティーズ、ジリオンのロングキャストスプールがBBなしで12~14g前後)
軽量ルアーを投げる分には10g前後のより軽量なスプールの方が立ち上がりは良いものの、
10g以上ルアーを投げるならこれくらいの重さが丁度良いです。
ブレーキ特性から遠投には「SVスプール」よりこちらの方が良いようです。
(SVスプールを持っていないので確認は出来ませんが、固定マグに近いらしいので)
▼ハンドル重量
約10g
同社のカーボン製クランクハンドルと重さが変わりません。
▼付属品
・取扱説明書
・展開図
・リールフット用ラバーシール(写真には写っていませんが)
▼ボディの傷など
バックラッシュ(特にPE)でザイオンボディに傷が入るそうです。
上の写真は成形時から出来ていたであろう線傷、反対側にもあります。
対策品がこちらのプレート(シール)。
特に理由はありませんが未だに貼っていません。
現行品は既に貼ってあるようです。
▼1000番台 互換スプール
左から
「SLP WORKS 1010 シャロースプール」・・・「T3 ユーザーズプロジェクト 限定」 5,000円
「RCSB 1012」・・・オプションスプール 8,000円
「RCS 1016」・・・T3標準スプール(MXはアルミスプール)
この1000番台、今後の主流になってくるのかと思いきや、
けっきょく同34mm径の100番台に逆戻り。
1000番台は「T3」と「RYOGA 1016」のみでラインナップが微妙です。
せめてジリオンのような無難なリールがあれば良いのですが。。
(リョウガは無駄に重過ぎる)
このまま「T3」と共に消えそうで怖いです。
<インプレ>
一言で言えばゴミリール。
圧倒的なまでのパワーのなさ、使っていて壊れそうと感じたリールはこれが初めてです。
特に負荷が掛かった時の巻重りが酷く、
たかだか30cmちょっとのキジハタを底から上げるのにすら巻き重りが生じます。
(下手するとスピニングよりパワーがないのではってレベル。)
あまりにも巻き重りが酷いので90mmのハンドルに替えて使用しました。
(SHから90mmを標準にすべきです)
いくらハイギヤだからといってここまで巻き重りするのは異常です。
考えうる原因は、やはりボディ素材のザイオンとフレーム設計でしょうか。
高剛性を謳うザイオン、データ上では従来のマグネシウムより剛性があるようですが、
実際には明らかにザイオンの方が下に感じられます。
フレーム自体もTWSを導入するためか、従来のフレームより窮屈です。
設計のことはよく分かりませんが、多少なりとも影響はあるでしょう。
また、リールフットにしても思い切りフッキングすると壊れそうに感じるほど弱々しく、
精神衛生上気持よく使えません。
実際に壊れたりはしないのでしょうが、ベイトリールで壊れそうと思えるのは問題外です。
巻き心地はスカスカとしていて滑らかとは言い難く、シュルシュルという音がします。
これは打ち物用として購入したので別に構わないのですが、
これで巻物をしようとは思えません。
そして目玉の「TWS」と「マグフォース3D」。
これに至っては申し分ありません。
飛距離については、メーカー公証でも5%UPと控えめな数字が物語る通り、
TWSの効果で劇的に飛距離が変わるわけではありませんが、
キャストフィールは気持ち良く飛んでくれます。
特に腰の強いフロロ使用時には、スムーズに放出されるのが実感出来ました。
メインは飛距離アップではなくて、
レベルワインドが端に位置した際の飛距離減衰の低減でしょう。
ラインがスムーズに放出されるのでバックラッシュもし難いように感じます。
「マグフォース3D」は確かに便利ですが、20×3段階=60通りの設定は正直使い込なせません。
だいたいフロロメインで使っていたので、
オールラウンドかマックスブレーキモードで投げていました。
その他、分解の際はビスに気を付けましょう。(特にボディの4本)
締め付ける際は、一度反対に回し、アタリを取ってから締め込みます。
まとめると、
▼良い点
・TWSによるラインのスムーズな放出(良好なキャスタビリティ)
・豊富なブレーキ調整(あまり使いませんが)
・パーミングのし易さ
▼悪い点
・剛性不足による巻重り
・巻物をするには微妙な巻き心地
・塗装の弱さ
<総評>
発売直後のマグフォース不具合による回収騒ぎ、パカパカの強度不足など、
いろいろと批判されていますが、これらは正直言ってどうでもいいです。
(最初なのでまぁ仕方ないかと思えるレベル)
個人的に一番ダメなのはボディでしょう。
フレーム設計も関係ありそうですが、元凶は何と言っても「ザイオン」。
完全に剛性不足。
スピニングリールにはありですが、ベイトリールのボディには論外です。
余談ですが、バスプロもあまり使っていないようですね。
メディアの取材では宣伝の為にも使っているのを見かけますが、
肝心のトーナメントでは使用している気配がありません。
BFモデルの「T3 AIR」は使っているようですが、
それでも釣りビジョンの番組等を見る限りは「KTF アルファス」の方が出番が多いような・・・。
某バスプロはけっきょく従来のジリオンを改良して使用していますし。
必ずしもプロが使っている=良いリールという訳ではありませんが、
これに至ってはあまりにも玩具過ぎるんでしょうね。
このリールはとてもスタンダードにはなり得ません。
かなり悪く書きましたが、あまり酷評しているインプレを見掛けないので、
自分が買った個体がたまたま外れだっただけかもしれません。
(後発の「MX」と「SV」はまだマシかも知れません)
ただし、巻き心地は単純に外れ個体のためでしょうが、
巻き重りは個体差ではなく、ザイオンボディの「T3」特有だと思われます。
後継の「TATULA」は、ボディがアルミと
「T3」とは打って変わってタフそうなので期待しています。
ただし、従来のリールとは全く互換性のないようなのでその辺りがちょっと残念ですね。
ちなみに廉価版の「T3 MX」との違いは下記の通りです。
・スプール
T3:超々ジュラルミン製スプール、T3 MX:アルミスプール
・ギア
T3:タフデジギヤ、T3 MX:タフデジギヤではない
・ベアリング数
T3:8個、T3 MX:6個(ハンドルノブのベアリングの差)
・ボディカラー
T3:シルバー塗装、T3 MX:ブラック(無塗装?)
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