渓流ベイト考察、第二弾。

渓流でベイトタックルが活きるシチュエーションについて。



<フィールド別使用感>

まずは各フィールド別の使用感。

ベイトとスピニング、両方を使い比べてみての感想になります。

■本流、開けた支流
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※写真は開けた小規模河川

本流の釣りは試していないので、比較的開けた川幅の広い支流での話です。

こういった地形で求められるのは、ピンポイントでのコントロールより、まず飛距離。

もちろんコントロールも大切ですが、キャスト精度より
ルアーをどう流すか(コース)のコントロールの方が重要になってきます。

飛距離についてはポイントに届かないようでは話にならないのはもちろんのこと、
飛ばせば飛ばすほど広く探れ、魚にも警戒されにくくなります。

前回、「最近のベイトリールならスピニングに負けずとも劣りません」と書きましたが、
ベイトであまり遠投を意識し過ぎるとバックラッシュの可能性が高まります。

開けた河川では風がよく通るので、少しでも飛ばそうとブレーキを弱めていると
風に煽られて思わぬバックラッシュを招くことも。

ルアーを引く距離が長ければ手返しも何もないのでベイトのメリットはあまり活かせず、
どちらかと言えばスピニング向きのフィールドです。



■支流、小規模河川(里川)
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求められる飛距離は最長でせいぜい30m程度、概ね20m前後飛ばせば釣りになります。

これくらいの距離ならベイトでも不自由しません。

飛距離があまり求められなくなった分、今度はキャスト精度が求められてきます。

川幅の広い河川では流芯のレーンや岩の裏を通すといった”線の釣り”がメインでしたが、
小規模河川ではこれにストラクチャーに着いた魚を狙う”点の釣り”が加わってきます。

アシ際ギリギリや倒木の陰など、ピンスポットにルアーを落とすキャスト精度が求められるため、
繊細なサミング技術(スピニングはフェザーリング)が欠かせません。

リールから放出されるライン量をコントロールするこの基本操作、
どちらがやりやすいかと言われれば断然ベイトがやりやすく感じます。

スピニングでは人差し指の当て加減が難しく、
リールの構造からスプールの外周単位でラインが放出されるため、
細かい放出量の調整は意外とやりにくいものです。

ブレーキが強く掛かってしまいがちになりやすく、
思ったより手前に落ちたり、強く掛け過ぎてルアーが少し戻ってしまうことも。

その点、ベイトでは親指をクラッチに置いて当てることが出来るので
安定してライン放出量の調整をすることが可能です。



本流のような川幅の広い河川ならスピニングが有利でしたが、
川幅の狭まった小規模河川ではベイトが有利に働くようになってきました。

上の写真のような規模ならまだスピニングでも良いですが、
これくらい↓の狭さなら尚更ベイトに分があります。
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■源流(山岳渓流)
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最後に河川の最上流部、源流・山岳渓流域。

源流部の渓相は基本的に落ち込みの連続で、間に淵や深く掘れた釜が加わります。
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ポイントのメインとなる落ち込み。

上の写真のように落ち込みが広がっていれば問題ありませんが、
間隔の狭いポイントでは思うようにルアーを通しにくいものです。
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ルアーを通せる距離が短いだけでなく、投げてすぐに次の動作に移らないと
釣りにならないということが多々あります。

アップの釣り全般にも言えることですが、着水から巻き始めまでが遅れると
ルアーが流されてしまい、せっかくキャストが決まってもポイントを外してしまいます。

ベイトはハンドルを回すとクラッチが戻る構造になっているため、
このロスが限りなく少なく、余計なラインスラッグを出しません。

スピニングにも同じような機能(ハンドルリターン・オートリターン)がありますが、
動作が不安定だったり、故障を招きやすいらしく、あまり奨められていないようです。
(そもそも備わっていない機種もあります)



周囲を木々で覆われ、キャストに制限が多いことも源流部の特徴。
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オーバーヘッドを使う機会はほとんどなく、
基本はサイドキャストでポイントによってはピッチングやフリッピングも使用します。

ベイトでは低弾道でキャストが決めやすく、
スピニングでは厳しいポイントも比較的容易に攻めるとことができます。



<キャストの注意点>

源流域を始め、周囲に草木が生い茂るような釣り場では
キャストの前に周囲(特に後ろ)をよく確認しましょう。

慣れない内はテイクバックからリリースのタイミングでルアーが草木に当たり、
そのままバックラッシュ・・・ということが何度かありました。

このパターンでバックラッシュすると修復不可能な状態に陥りやすいので注意が必要です。

何かに当たったと思ったらすぐにサミングで強制ブレーキ。

この備えをしておけばバックラッシュはほぼ防げます。



<ベイトタックルが活きるシチュエーション>

以上からベイトタックルが活きるシチュエーションとして、

・ルアーを「飛ばす距離」と「引ける距離」が短いこと

・ピンスポットに落とすキャスト精度が求められること

・着水後、素早く巻き始める必要があること

の3つが挙げられます。



ベイトタックルが活きるフィールドは、河川の上流部、”源流・山岳渓流域”。

基本的に上流に向かう(川幅が狭まる)に連れてベイトの強みが活きてきます。

本流や下流の比較的開けた川幅の広いエリアではさほどメリットを活かせません。



■源流ベイト
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ベイトタックルは短い距離をテンポよく打っていく釣りに向いており、
特に源流域での釣りにはこれ以上ないというくらい嵌まります。

源流部ではとにかく打つべきポイントが多いので
スピニングよりベイトタックルの方が断然快適に釣りができ、テンポよく釣り上がれます。



渓流釣りはキャストでほぼ決まるもの。

ベイトタックルはキャスト精度、手返しと、遠投以外はスピニングを上回ります。

渓流でのベイトタックルはただ使って楽しいからと言うだけでなく、
実用面でも大変優れたものです。

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