ダイワ 「15 フリームス」のインプレッションです。
「2004」、「2508R-H」と続き、今回はサイズ関係なしの総括。
「15 フリームス」の特徴と、使用感をお伝えします。
注)内容が過去の記事や個別記事と一部重複します。
「2004」と「2508R-H」、それぞれの各部重量と個別インプレはこちら
・「ダイワ 15 フリームス 2004 各部重量 インプレ」
・「ダイワ 15 フリームス 2508R-H 各部重量 インプレ」
まずは「15 フリームス」の概要から。
<スペック>
▼採用・搭載機能
・マグシールド
・ATD(オートマチックドラグ)
・ツイストバスターⅡ
・エアローター
・エアベール
・ABSⅡ
・アルミ製スプール/ボディ
生産国:中国
メーカー製品ページはこちら
<付属品>
・取扱説明書
・展開図&パーツ表
・リール袋(ナイロン製)
・スプール調整ワッシャー
・RCSスプール用メタルワッシャー
<15 フリームスの特徴>
「15 フリームス」最大の特徴は、
最新ドラグシステムの「ATD」と「マグシールド」の実装です。
■ATD(オートマチックドラグシステム)
最新のドラグシステム「ATD」。
今回のドラグシステムは単純に既存のUTDの進化版というわけではなく、
これまでのドラグシステムとは特性が異なります。
詳細はこちらを参照↓
・「DAIWA : ATD – Web site」
・「ATD(オートマチックドラグシステム) – Daiwa」
使用感は2004の方を参照。
適切にセッティングすれば優れたドラグといえるでしょう。
ちなみにUTDや今回のATDなど、ドラグドラグシステムを決めるのは
ワッシャーに塗布するグリスの違いだけのようです。
(ワッシャーの材質も微妙に変わっています)
恥ずかしながら、もう少し構造的なものも違うと思っていました。。(汗)
■マグシールド
このリール最大の目玉は何と言っても『マグシールド』。
・「DAIWA : マグシールド – Web site」
・「DAIWA : マグシールドユーザーアンケート – Web site」
2016年1月現在、発売から一年経った今でも一番安いマグシールド搭載機となっています。
これまでマグシールドはカルディア以上のリールにしか採用されず、
これの前身「11 フリームス」はオイルシールドでした。
そんなマグシールドが遂にエントリークラスのフリームスにまで搭載!
うわぁ凄い。(棒読み)
波を被るような釣りをする方は恩恵を受けることができるでしょう。
それ以外はせいぜいちょっと防水性が高いだけの代物。。
ライトユーザーならあって損はないですが、
自分で分解メンテをするようなヘビーユーザーには不要以外のなにものでもありません。
(まぁ釣り人全体からすればそれほど分解メンテをする人はいないと思いますが…)
ちなみにメーカーは年に一回くらいはオーバーホールに出すことを推奨しています。
メーカーオーバーホールは一番安いコースでも3,000円。
実売一万円そこそこのエントリークラスに必要なのかと。
長く大事に使うよりは使い潰すくらいの方が経済的です。
<防水性>
マグシールドだけではない、各部の浸水対策。
ローターを固定するナットに上にパッキン&低粘度グリス?
そして要のマグシールド。
マグシールドは高い防水性を有しているようですが、
完全防水というわけではないので注意が必要です。
マグシールドの効果範囲はローター回り(メインシャフト、ローラークラッチ)のみ。
当然水没させてしまえばボディの隙間などからリール内部に水が侵入してしまいます。
従来のリール(07 ルビアス)では、一杯に締めても水が侵入しやすかったドラグノブ。
パッキングがより防水性の高いものになりました。
<訂正>
改めて比較してみるとパッキンは同じようなものでした。
ドラグノブの形状は一部変わっています。
防水性の向上に関わっているかは不明。
ATDは専用のグリスを販売しないようなので自分でメンテすることができません。
そうなるとドラグノブの防水性は重要になってきます。
ハンドル回りも大きなパッキンが覆っています。
ちなみにねじ込み式ではなく、供回り方式のハンドルを採用しているためか、
ボディに直接キャップを取り付けるための溝は設けられていません。
よってリールスタンドの類も装着できません。
どうしてもリールスタンドを装着したい場合は、自分で加工するなりの工作が必要です。
<セルテートと比較>
同じメタルボディの「13 セルテート」と比較してみました。
ぱっと見、上位リール 「13 セルテート」に配色が似ています。
(カラーはフリームスのボディカラーの方が青みが強め)
歴代のフリームスの中で一番デザインは良いと思っています。
下位モデルはどうしても安っぽく見えるデザインをしていますが、
このフリームスはそこまで安っぽくありません。
その他、スプールは同じABSⅡですが、細部が微妙に違っています。
スプールエッジの厚みが全然違いますね。(だから何だという話ですが)
セルテートとの比較は以上。
見た感じ似ていたので少し比べてみただけ。。
ここからは細部を見ていきます。
<供回り式ハンドル>
個人的に残念な部分。
価格帯からいって共回りハンドルが採用されるのは全然おかしなことではありません。
むしろ普通は共回りハンドルなんですが、、
ライバル機にあたるシマノの「12 アルテグラ」がねじ込み式ハンドルを採用してしまいました…
ギヤに直接差し込む「ねじ込み式」と比べて、
ギヤに空いた穴に差し込む「貫通式(供回り」は構造上どうしてもガタが出やすくなります。
購入した2台共、キャップを目一杯締めても若干ガタがありました。
シャフト部分だけでなく、
ハンドルに設けられた折り畳むための継ぎ目もガタを生む要因となっています。
個人的に効果が実感し難いマグシールドより、
アルテグラに対抗してねじ込み式ハンドルを採用して欲しかったです。
ガタの問題だけでなく、
ねじ込み式になればオプションのハンドルも装着できるようになります。
<ラインローラー>
標準ではベアリングなしのカラーのみ。
カラーをベアリングに交換して1BB仕様にすることが可能です。
関連記事:「15 フリームス フルベアリング化 後編 ラインローラー1BB」
ベアリング交換後しか使っていませんが、
実釣でこれといったライントラブルは起きませんでした。
(一回だけPEラインの巻き過ぎによるトラブルがありました)
<アルミボディ>
今回一番書きたかったところ。
事実上「15 フリームス」の最大の特徴といえます。
これまでのフリームスは軽量なカーボン樹脂、ザイオンボディでした。
それがこの15年モデルに突然のメタルボディを採用・・・。
アルミボディを採用した理由らしき記述は以下の通り
リールの長年の課題であった埃・海水が誘発するトラブルは
「マグシールド」の採用によりボディ内部への浸入が大幅に阻止され、
新品の滑らかな回転が長期間続くことになります。
滑らかな回転は強靭なアルミボディにも支えられ、
高負荷時にもボディのたわみなく、スムースにギヤーが回転していきます。
非常に滑らかな回転性能がアングラーを待っています。
滑らかな回転を持続させるため、ということらしい。
それだけなら従来のリールにも言えること。
何を突然フリームスに採用してきたのか不思議で仕方ありません。
個人的にアルミボディのラインナップが増えること自体は非常に望ましいことです。
ただ、グレードが半端過ぎる・・・。
このグレードだとギヤをより丈夫なものを採用し、タフさを謳うこともできません。
もちろんザイオンボディのリールと比較すればギヤの持ちは良くなりますが、
ギヤはクラス相応の亜鉛・・・。
そうまでして採用したアルミボディの代償が重量です。
いくら何でも重すぎ。(2004で250gとか…)
前モデルとのギャップが激しすぎて、
何も知らずに手に取ってみた前作ユーザーはさぞ驚いたことでしょう。
デメリットばかり強調されてしまったので、意外なメリットも。
重くなってことで良くなったこともあります。
それはリールの重量バランス。
ザイオンボディの「11 フリームス」は、ボディこそ軽量なものの、
スプールはアルミで重いため、頭が重く、重量バランスの良いリールではありませんでした。
それが「15 フリームス」ではスプールを軽くするのではなく、
ボディを重くするという斬新な発想でこの問題を解決。(笑)
まぁ冗談ですけど、前作より重量バランスが良くなっていることは確かです。
<インプレッション>
用途に合えば十分に使えます。
巻き心地は、グリスの影響なのかヌメヌメ?とした滑らかな巻き心地。
「07 ルビアス」ほど巻き始め・巻き感は軽くありませんが、滑らかさはこちらの方が上です。
一通りのライントラブル対策も備わっています。
肝心の用途ですが、
重さがかなりのネックとなるので2000番以下は使えたものではありません。
使えるのは3000番(2508Rを含む)以上、
シーバスなどタダ巻き主体の釣りなら2508番もありですが、
エギング用途には不向きです。
予算は一万円ほど。
そこそこ丈夫で雑に扱えるリールを求めている方には丁度良いリールです。
Amazon
ナチュラム
ちなみにこのリール、某ルアー誌の読者投票企画ではランキング圏外でした。
(後から発売された「15 ストラディック」は見事ランクインしているというのに)
実際、前モデルほど売れていないでしょう。
ライトゲーム用なら同価格帯だとシマノ 「12 アルテグラ」、
もう少し予算を出せるなら「14 カルディア」を選ぶのが無難です。
更にタフさを求めているなら、あと5,000円ほど足すと
よりタフな仕様のシマノ 「15 ストラディック」が買えてしまいます。
同じアルミボディのリールをダイワから探すと、
これより上のグレードは実売3万円後半の「セルテート」まで一気に跳ね上がってしまいます。
今回のフリームスは駄作と言ってもいいくらい微妙な位置付けのリールとなってしまいました。
「15 フリームス」が本来あるべき姿であった、
マグシールド、ザイオンボディ、ATDは今年発売される「EM MS」に集約されています。
価格はフリームスより少し高くなってしまいますが、
間違いなくこのフリームスより売れるでしょう。
売れ筋から外れてしまったフリームス。
次のモデルチェンジでいったいどうなることやら・・・