DCブレーキ搭載のシーバス用ベイトキャスティングリール、シマノ 「20 エクスセンスDCSS HG」のファースト・インプレッション。
HAGANEボディのクラドDCをベースに、PE用にセッティングされたDCブレーキ「I-DC4エクスセンスチューン」を搭載。
X-SHIPにマイクロモジュールギアも搭載し、巻き感は滑らかな。
一部微妙に感じられたスペックもいざ使ってみると気にならず、思った以上に良いリールでした。
シマノ 20 エクスセンスDCSS HGの特徴とスペック
シンプルなダイヤル操作で簡単セッティング。しかも飛ぶ。
憧れのベイトスタイルを身近にする実践派DCリール。ベイトスタイルのシーバスゲームをもっと身近に! そんな要望に応えて開発したエクスセンスの新機軸。シーバス用にスペシャルセッティングを施したI-DC4エクスセンスチューンは、シンプルな4段階のダイヤル操作のみで、PE・フロロでの幅広いウェイト・タイプのルアーに対応できます。HAGANEボディ、マイクロモジュールギア、X-SHIPなど先進のテクノロジーも装備し、シーバスにロックフィッシュに、快適なロングキャストを演出します。
<スペック>
品番 | ギア比 | 最大巻上長 | 最大ドラグ力 | 自重 | スプール寸法 | 糸巻量 | ハンドル長 | ベアリング数 | 本体価格 |
HG | 7.4 | 79cm | 5.0kg | 220g | φ34mm/w25mm | PE 1.5号-255m | 45mm | 6/1 | 39,500円 |
XG | 8.5 | 91cm | 5.0kg | 225g | φ34mm/w25mm | PE 2号-180m | 48mm | 6/1 | 39,500円 |
ラインナップは、HGとXGの2種のギア比に左右ハンドルで計4機種。
【付属品】 保証書に便利な下巻きゲージが付属
<付属品>
・取扱説明書
・展開図、部品リスト
・保証書
・バンタムオイル
・リールレンチ(ハンドルノブキャップ用)
・PEライン用下巻きゲージ
ハイエンドのベイトリールでも保証書はつきませんが、DCブレーキ搭載リールには保証書が付属されます。
他に電動リールにも付属するそうで、電子系の保証といった感じでしょうか。
保証期間は1年となっており、ロッドの保証書のような免責価格はない様子。
DCユニットに不具合が発生、または故障した際に必要になるようです。
ラインキャパが多めなためか、PEライン用の下巻きゲージなるものが付属。
メインライン 1号-150m、200m、1.5号-150m、200m、2号-150mの5パターンの下巻きに対応します。
他にはリールレンチにオイルと、シマノはある程度の価格帯以上になると付属品が充実していますね。
まぁこれまで付属のオイルを使ったことないんですけど。^^;笑
ベースリールは海外モデル「クラドDC」
「エクスセンスDCSS」のベースリールは、国内未発売の海外モデル「クラドDC」。
日本のモデルに当てはめると、「スコーピオンDC」にマイクロモジュールギアを搭載してマイナーチェンジしたようなスペックです。
エクスセンスDCSSは、クラドDCの派生リールで完全新規のリールではありません。
アルミ製メインフレームのHAGANEボディ
メインフレームはアルミ製のHAGANEボディ。
ギアボックス側サイドプレートはアルミ、パーミングカップ側は高強度樹脂のようです。
パーミングカップには、ブレーキダイヤルとEXSENCEの印字。
MADE IN MALAYSIA マレーシア産となっています。
X-SHIP、マイクロモジュールギア搭載
下位の「SLX DC」とは違い、こちらは「X-SHIP」、「マイクロモジュールギア」搭載。
ドライブギアの材質は超高強度真鍮製で巻き心地は滑らかです。
エキサイティングドラグサウンド搭載
ドラグが引き出された際に音の出る「エキサイティングドラグサウンド」を搭載。
ファイトが楽しめます。
また、ドラグワッシャーは耐久性に優れたカーボンクロスワッシャーを採用。
スタードラグはクリック音あり、メカニカルブレーキノブはクリックなし。
90mmアルミクランクハンドル+EVAノブ
SHギアモデルのハンドルは、90mmのアルミ製クランクハンドルにEVAノブを採用。
(XHモデルはもう少し長いハンドルになります)
EVAノブは見た目あまり好みではありませんが、握りやすく実用性は高いです。
下手に金属のラウンドノブにすると、キャスト時のクラッチ返りを起こしかねないので、軽くてボリュームの出せるEVAは実用的。
ノブ内にベアリングは入っていませんので気になる方は追加を。(DDL-740ZZ)
【気になったところ】 ギアボックスの大きな張り出し
シマノ製ベイトリールに多く見られるのですが、大きく張り出したギアボックスが気になります。
それだけメインギアが大きいということなのか、構造上の問題なのか、とにかくブサイクに見えてしまって…
14ベイゲーム(14スコーピオン)と比較。
ダイワ 「19モアザンPE TW」と比較。
ボリュームはあるものの、横幅はさほど変わらず、特別大きいというわけではありません。
ギアボックス側をパーミングするわけではないので持ちにくいこともなく、パーミング性はまずまず。
【気になったところ】 クラッチを切ったときの段差
もう一つ気になったのが、クラッチとボディとの段差。
他のリールではなだらかになっているものですが、エクスセンスDCSSは角が立つ・残るような感じで3フィンガーでパーミングした状態からクラッチを切ると角が当たり切りにくいです。
シーバスはともかく、ロックフィッシュではボトムを取るためにクラッチのオン・オフを多用するのでこれはちょっと不快に感じました。
レベルワインドは非メガホン型
ベースリールの都合上仕方ありませんが、レベルワインドは上位モデルに採用されているようなメガホン型ではなく、至ってノーマルなものを採用しています。
レベルワインダーもウォームシャフトを見る限りハイスピードレベルワインドではなく、至ってノーマル。
【ソルト対応】 防錆ベアリングに防水性構造
シーバス、ロックフィッシュ用ということでもちろん海水に対応。
腐食に強いアルミフレーム、防錆ベアリング「S A-RB」に、海水がボディ内部に入り込みにくい構造となっています。
ただし、ベイトキャスティングリール自体がどうしても海水に弱いため、釣行後の水洗いは必須。
注意点として、DCユニットにある程度の防水性があるとはいえ、DCユニット内の浸水は故障の原因となるため、水没は厳禁です。
自重215グラム 重いとまではいかないリール重量
総重量:215.1g
カタログスペックより5グラム低い値となりました。
軽量リールとはいえませんが、200グラム前半なら重いとまではいかず許容範囲内です。
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スプール、ブレーキシステムの仕様をチェック
キャスティングに関わる、スプール、ブレーキシステムについてチェック。
ツールなしでスプール交換可能
エクスセンスDCSSは、スプールの脱着にツールを必要としません。
サイドプレートは、ダイヤル1→2→3→F→OPENに合わせてロックを解除。
上位エクスセンスDCを始め、DCブレーキリールはスプールの取り外しにネジを外す必要があるものが多いようですが、エクスセンスDCSSはそのままスプールを外せます。
スプール交換が簡単なメリットは、今のところ純正スプール以外に替えスプールはないので、メンテナンス性の問題でしょう。
ちなみにスプールの価格は、税抜き7,150円と比較的リーズナブル。
できれば浅溝のスプールが夢屋から発売されてほしいものです。
スタンダードなφ34mm S3Dスプール
搭載されるスプールは、34mm径の精度の高いS3Dスプール。
上位モデルのエクスセンスDCがφ37mmなので、スタンダードなφ34mmは好印象。
ただし、スプール幅25mmというワイドスプールは、もう少し何とかならなかったものか。
ベースリールの都合上仕方のないことかもしれませんが、ハイスピードレベルワインドにするなり、エクスセンスDC(19mm)ほどナローにしなくともスタンダードな22mmにするなり、もうひと押し欲しかったところ。
ラインキャパの1.5号-255m、2号-180mは個人的に多く感じます。
材質は上位モデルのような超々ジュラルミン製ではなく、SLX DCと同じアルミ製。
グレードがグレードなのでサイレントチューンは未搭載。
アルミ製のためかスプール重量は重め
自重:20.76g
約21グラム、やはり重いですね…。
もう少し軽いことに期待していたのですが、下位の「SLX DC」とほとんど変わりません。
【DCブレーキ】 I-DC4 エクスセンスチューン
採用されているDC(デジタルコントロール)ブレーキは、「I-DC4 エクスセンスチューン」。
「I-DC4」というと、いくつかあるDCブレーキで古い部類に入りますが、ベイトシーバス PE用にチューンされたものとなっています。
上位機種のように細かなセッティングはできないものの、シンプルな4段階のブレーキダイヤルである意味使いやすいのでは。
外部ダイヤルのみなので操作しやすいのも良いですね。
外部ダイヤルで調整可能なシンプルな4モード
<ブレーキモード>
ブレーキモード1:PE 遠投用
ブレーキモード2:PE 標準
ブレーキモード3:PE ナイト、強風
ブレーキモードF:フロロ 標準
ブレーキモードは外部ダイヤルで操作可能なシンプルな4モード。
4モードの内、3つがPE用で残る一つがロックフィッシュでの使用を意識したフロロ用となっています。
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ファースト・インプレッション
それでは、実釣もとい試し投げしてみたファースト・インプレッション。
【ライン】 4本編みPEライン ピットブル4 1.5号
巻いたラインは、4本編みの安価なPEライン、シマノの「ピットブル4」。
これの1.5号を下巻きを入れて100m巻きました。
200mフルに巻いても良かったのですがケチりました
最終的な巻量は巻き込むリーダーを含めてスプール9割くらい。
気になったゴツさ、見た目は違和感なし
まず、ゴツくブサイクに見えたボディは、いざロッドにセットすると特に違和感なく悪くありません。
シックなマットブラックのボディはいろいろなロッドに合わせやすいです。
パーミング性も手に小さな自分でも問題なし。
音痴なDC音…? DCブレーキの使用感は予想以上にトラブルレス
そして、いざ試し投げ。
8~26g程度のルアーをキャストしてみました。(メカニカルはゼロ設定固定)
スプール重量の割に立ち上がりはそれほど悪くなく、思った以上にスムーズに飛んでいきます。
厳しいと思われた8グラム程度のミノーが難なくキャストできたのには驚きました。
スプール重量から快適にキャストできる下限は、10ないし14グラム以上と予想していたのですが、これは7グラムもいけそうです。
ただし、ピッチングなどの近距離キャストは不向き。(軽いものは特に)
こればかりはブレーキがどうこう以前にスプールの重さがネックとなっています。
シーバス用途でそれほどピッチングをする機会はないと思いますが、基本普通に飛ばす用でブレーキダイヤルはモード2でほぼ全対応。
飛距離も出せていて、着水サミングはした方がいいですが、キャスト途中はラインが浮くことなく、バックラッシュする気配はありませんでした。
モード1は明るい日中に特に飛距離を必要とする状況に。
一番ブレーキが強いモード3は、よほどの強風・向かい風でなければほとんど使うことがないでしょう。
気になったのは、DC音。
あの独特なキャスト音(DC音)がこれまでのDC機とは違うような…。
セッティングが変わったためか、YouTuberのKさんの言葉を借りると、音痴なDC音がすることがありました。
(毎回ではないものの、イメージと違うちょっと汚い音ですね)
PEライン特化要素はブレーキのみ もうひと押し欲しかった
ナロースプールでなければハイスピードレベルワインドでもなく、リール本体側にPEラインに特化した要素はみられません。
PEラインに特化した要素は、ブレーキステム「I-DC4 エクスセンスチューン」のみのようです。
理想はメガホン型レベルワインド&ナロースプールなのでしょうが、そこはグレード的に仕方ないとしても、ワイドスプールのままならせめてレベルワインドの動きを早くしてほしかったところ。
今回は投げていただけなのでラインが食い込むことはありませんでしたが、実釣でのラインの食い込みが心配です。
あとはやはり多すぎるラインキャパ。
ただでさえ重いスプールにこのラインキャパでは下巻きを入れる必要があり、その文だけ重量増→キャストフィールの低下となってしまいます。
φ34mm径ということもあり、1.5号-200m、2号-150m程度で十分。
シマノは心配性なのか全般的にラインキャパが多めなんですよね…。
ナロースプールではないことを気にされる方へ
ネット上でよく話題になっているナロースプールではない点について。
気にされている方も多いと思いますが、前提としてナロースプールを使ったことがない方は気にする必要はありません。
そんな使ってみたこともない上位機種の機構と比較して気にしても…
別にナローでなければ、飛距離が出ないわけでもトラブルが増えるわけでもありません。
(そりゃキャストフィールは良いでしょうけど)
ナローじゃないことを一番の理由に迷っているのであれば、それは気にしすぎなのではと思います。
他リールとの比較 何を求めるか
手っ取り早く安くてトラブルレスのリールをお求めなら、ダイワの「20 タトゥーラSV TW」がオススメ。
(SV機はノーマルでも十分PEに対応します)
「エクスセンスDCSS」を選ぶポイントは、単純にDCブレーキを使ってみたいかどうかと、飛距離とトラブルレスのバランス。
近・中距離のトラブルレスはダイワのSV機に軍配が上がりますが、SV機は飛距離を犠牲にしているところがあるので、それなりの飛距離+トラブルレスを求めるならDCの方が良いでしょう。
また、下位モデルの「SLX DC」は、ナイロン・フロロ向けにブレーキがセッティングされており、X-SHIP&マイクロモジュールギアも非搭載。
PEをメインラインに考えているのなら、もう少し予算を出して「エクスセンスDCSS」の方が良いでしょう。
思ったより全然ありなベイトシーバス用DCブレーキ搭載リール
スプールがもう少しナローなら、軽ければ、浅溝なら、レベルワインドがハイスピード、メガホン型なら…
上記の気になる点はいくつかあるものの、X-SHIP&マイクロモジュールギアにドラグサウンド搭載で実売28,000円ほど。
肝心のキャスト性能に関しては、実際に使ってみた感じではスペックほど悪くなく、むしろ良かったくらい。
これの上位互換となる「エクスセンスDC」では価格が倍近くなることを考えると、そんなに悪くないどころか良いリールでしょう。
巻き心地については、X-SHIP&マイクロモジュールギアを搭載しているのでシマノらしい滑らかさで良いと思います。
正直なところ、微妙に感じられたスペックに使用前は何度か使ってからの売却を考えていました。
それが実際に使ってみたところ使用感は良かったので、せっかく購入した初DCブレーキ搭載リールということもあって最後まで使います。
ちなみにHGを選んだのは、汎用性の高さから。
HGが良いというよりはXGが苦手というのが大きく、夜のスローな釣りではオーバーだと感じています。
長い目でみても歯数の少ないHGの方が耐久性も上なので無難にHGを選びました。