ダイワ 「22 シルバークリークAIR TW ストリームカスタム 8.5L」のファースト・インプレッション。
渓流ベイトフィネス専用機としてカスタムされた「アルファス エア TW」の派生モデル。
トラウトにマッチしたカラーリングに、ブレーキが固定マグブレーキ仕様になっています。
ダイワ 22 シルバークリーク エア TW ストリームカスタム
渓流ベイトフィネスアングラーに向けたカスタマイズを施した特別仕様機登場!
Φ28mmG1ジュラルミン製ストリームトラウトブレーキチューンスプール搭載(インダクトローター固定式)により、安定したブレーキ力を発揮。
渓流でのピンポイント攻略においてアキュラシー向上!
<スペック>
品名 | ギア比 | 巻取り長 | 自重 | 最大ドラグ力 | スプール寸法(径/幅) | 標準糸巻量 | ベアリング | ハンドル長 | 価格 |
8.5R / 8.5L | 8.5 | 74cm | 170g | 3.5kg | φ28/21mm | 6lb-40m / PE 0.8号-40m ※ | 6/1 | 80mm | 47,200円 |
<付属品>
・取扱説明書
・製品特性上の注意
・アンケート登録ID番号カード
取説のみでリールバッグなどはなし。
こういった特化リールの取説は一度は目を通しておきましょう。
【デザイン】 渓流トラウトに合ったカラーリング
「シルバークリーク」の名を冠したモデルということで渓流トラウトに合わせたカラーリングになっています。
ボディカラーは光沢のあるメタリックブラウン?コパー?、パールが混ざったような茶系のカラーです。
これにスタードラグやメカニカルブレーキノブ、リテーナーがシャンパンゴールド。
スプールはシャンパンゴールドを更に薄めた色になっています。
ハンドルはブラックの80mmのアルミ製ハンドルにコルクノブを採用。
ノブについて、比較的最近発売されたコルク剥き出しの「ノンコートコルクノブ」を採用してきそうなものの、昔からある「Iシェイプルクノブ」のクリアを採用したのはちょっと疑問?
見た目としてはコルク剥き出しの方が良さそうなものですが、耐久性を気にしたのでしょうか。
ちなみにあくまで個人的な感想なのですが、発表時にひと目見た感想は「思っていたのと違う…」でした。
というのも、これまで発売された「ストリームカスタム」とカラー系統が変わっています。
2016年に発売された第一弾「SS AIR ストリームカスタム」。
そして2018年に発売された第二弾「アルファス AIR ストリームカスタム」。
どちらもボディーカラーはグリーンです。
てっきりこのようなカラーで発売されると思っていたので、初見時の印象はあまり良いものではありませんでした。
それでもいざ購入して手元に届くと、変に主張しすぎず高級感もあって悪くないカラーリングです。
(どちらかと言うとロープロのアルファスより丸型のミリオネアの方がに合いそう)
シルバークリークAIRの特徴とベースリールからの変更点
「シルバークリークAIR TW」の特徴、基本的なスペックをベースとなった「アルファスAIR TW」との比較を交えて解説します。
【ハイパードライブデザイン】 フルメタルボディ
「シルバークリークAIR TW」は最新の設計思想「ハイパードライブデザイン」を基に設計されたリールです。
▼ハイパードライブデザインの4要素
・ハイパーアームドハウジング
・ハイパータフクラッチ
・ハイパードライブデジギア
・ハイパードライブサポート
ボディはメインフレーム・両サイドカバーがアルミ製のフルメタルボディを採用。
小型のロープロリールでありながら非常にかっちりとした剛性の高いリールとなっています。
ベースとなった「アルファスAIR TW」とざっくり比較すると、
・カラーリング変更
・サムレストの一部形状変更
・スタードラグがZAION製からアルミ製に
「アルファスAIR TW」はカタログスペック上においてハイパードライブデザインに該当しないモデルとなっていますが、「ハイパードライブデジギア」以外は採用されています。
差異であるギアも精度?や処理?が異なるのみで同じG1ジュラルミン製です。
【ドラグ】 UTDにドラグクリッカー搭載
ドラグはベースリールと同じく「UTD-アルティメットトーナメントドラグ」。
ベースリールにはなかったドラグ動作時にクリック音の鳴るドラグ引き出しクリックが新たに搭載されています。
(ドラグ調整のクリック音もあります)
「スティーズAIR TW」や「アルファスAIR TW」には搭載されず惜しまれたドラグクリッカー。
これで数少ない不満点が解消されました。
【TWS】 ハイスピードレベルワインド仕様
ラインの放出抵抗が抑えられる「TWS-Tウィングシステム」を搭載。
ベースリールよりレベルワインダーの移動スピードが早い「ハイスピードレベルワインド」仕様となっています。
↓こちらが「アルファスAIR TW」のウォームシャフト。
↓そして「シルバークリークAIR TW」のウォームシャフト。
溝の間隔が違うのが分かります。
参考までにレベルワインドが一往復するのに「アルファスAIR TW」がハンドル4回転半くらい、「シルバークリークAIR TW」が3回転半ほどで一往復するスピードです。
これによりラインが食い込むトラブルが減少されます。(特にPEライン使用時において顕著)
ちなみにラインの巻面が狭まり、実質スプールがナロー化されているため、レベルワインダーの可動域(可動範囲)に違いがあるかと思いきや同一のようです。
糸巻き時に影響しそうなものですが問題ないのでしょう。
可動域が同じということで「アルファスAIR TW」も単純にウォームシャフトを交換するだけで簡単にハイスピード仕様にできそうです。
【重量】 ベースリールから10g増の170グラム
自重:169.8g
カタログスペック通りの170グラム。
スタードラグなどの材質変更などもあり、ベースリールから10グラムの重量増となっています。
【ストリームカスタム】 小口径ナロースプール&固定マグ
それでは軽量キャストの要であるスプールとブレーキをみていきます。
回転レスポンスに優れたφ28mm G1ジュラルミン製スプール
φ28mm G1ジュラルミン製スプール。
慣性が小さくスプールの立ち上がりに優れた超小口径のφ28mmに、超々ジュラルミンの上位材質であるG1ジュラルミン製。
ここまではベースの「アルファスAIR TW」と同じ仕様なものの、スプール寸法は変わらず糸巻面が狭まったナロースプール化しています。
これにより、ラインの放出抵抗がより小さくなり、ラインの抜け、スプールの立ち上がりが向上します。
また、スプール寸法が変わらないため両リール&スプールに互換性あり。
【固定マグブレーキ】 安定したブレーキがかかる固定式インダクトローター
スプールを支持するベアリングには、ベースリールと同じくマイクロベアリングを搭載。
そしてストリームカスタム一番の特徴が固定式インダクトローター。
インダクトローターが動く(可変式)ことによってブレーキの掛かり方に変化をつけているのがダイワベイトリールの特徴でしたが、これをあえて固定化することにより常に一定のブレーキが掛かる固定マグブレーキ仕様となっています。
周りにキャストの妨げとなるものが多く、ロッドを振るスペースが限られる渓流では、どうしても中途半端なキャストの仕方(入力)になることがあります。
そういった状況下での可変式インダクトローターは、どっちつかずの不安定な効きになりがち。
基本的に少しでも遠くに飛ばすといった必要性の低い渓流では、可変式より安定したブレーキが掛かる固定式に分があります。
参考までに「アルファスAIR TW」の標準スプールと比較
単純にインダクトローターが磁界に入る位置に固定されるだけでなく、インダクトローターそのものの面積が広くなっています。
【自重】 ベースリールの標準スプールから0.6g増
自重:8.72g(BB込)
参考までに
アルファスAIR TW 標準:8.12g(BB込)
アルファスAIR TW用中華スプール:5.42g(BB込)
インダクトローターが大きくなったためか「アルファスAIR TW」の標準スプールから若干の重量増となっています。
これくらいの重量差なら使用感、キャスト性能に大きな違いはないでしょう。
重量差より、インダクトローターの違いによるブレーキの変化が一番の違いです。
ベースリール、派生モデルと比較
ベースリールの「アルファスAIR TW」、同じく派生モデルである「月下美人AIR TW」とスペックの違いを比較してみました。
比較 | 20 アルファスAIR TW | 21 月下美人AIR TW | 22 シルバークリークAIR TW |
ハイパードライブデザイン | ▲※ | ○ | ○ |
自重 | 160g | 165g | 170g |
巻糸量上限値 | 45m | 100m | 40m |
インダクトローター | 可変式 | 可変式 | 固定式 |
ナロースプール(糸巻面) | – | ○ | ○ |
ハイスピードレベルワインド | – | ○ | ○ |
ドラグクリッカー | – | ○ | ○ |
ソルト対応 | ○ | ○ | 淡水専用 |
ベアリング数 | 6/1 | 12/1 | 6/1 |
ギア比 | 7.1/8.6 | 8.5 | 8.5 |
価格 | 42,800円 | 45,400円 | 47,200円 |
共通しているスペックは省略し、スペックの差異を比較しています。
【ボディの違い】 ドラグクリッカーにハイスピードレベルワインド
ベースリールと派生モデル、ボディの性能として以下の4つが異なります。
・ハイパードライブデジギア
・ドラグクリッカー
・ハイスピードレベルワインド
・ベアリング数
アルファスAIRとシルバークリークAIRとのベアリング数の違いは、ハンドル4個とウォームシャフト両端の2個になります。
【スプールの違い】 インダクトローターの仕様、ラインキャパ
スプールそのものの性能に大きな違いはなく、主な違いは以下の3つ。
・インダクトローターの仕様(可変式か固定式)
・ナロースプール
・ラインキャパ
基本的にいずれもベイトフィネス用ということでラインキャパは少なめですが、ソルトベイトフィネス用の月下美人AIRはラインキャパが多めとなっています。
(推奨50m、PE 0.6号で最大100m)
また、月下美人AIRのみPEライン専用スプールとなっています。
シルバークリークAIRもPEがメインですがナイロン・フロロにも対応。
ラインの伸びでスプールが破損云々の話は、よほど水分を吸ったナイロンを長期間巻きっぱなしにして若干歪むかどうかくらいなものなのであまり気にしなくていいかなと思っています。(あくまで個人的な感想)
ソルト対応、淡水専用の違い
「アルファスAIR TW」と「月下美人AIR TW」は海水対応、「シルバークリークAIR TW」が淡水専用となっています。
海水対応か淡水専用か、両者の違いを決める主な要因は錆に強い防錆ベアリングの数。
(採用している部品の材質、表面処理なども関係ありますがアルファスの場合は防錆BBが主でしょう)
ダイワの防錆ベアリング「CRBB」の採用数が異なり、
「アルファスAIR TW」・・・6個中4個
「月下美人AIR TW」・・・6個中2個
「シルバークリークAIR TW」・・・12個全て
CRBBの採用数だけでなく、そもそもとしてBB数の多い月下美人AIRが圧倒的にお得ですね。
【まとめ】 渓流ベイトフィネス専用モデルの完成形
「アルファスAIR TW」をベースに渓流専用機としてカスタムされた「シルバークリークAIR TW」。
・小口径φ28mm G1ジュラルミン製ナロースプール
・固定マグネットブレーキ
・TWS
・ハイスピードレベルワインド
・ドラグクリッカー
正直言ってスペックのみを考慮すると割高なリールですが、渓流ベイトフィネスには申し分のないスペックです。
(上記ベアリングの件もあり、月下美人より高いのはどうなのか)
ブラック&レッドみたいなカラーリングの多いベイトフィネスリールは渓流のイメージに合わないのでカラーが違うだけでも価値がありますね。
実釣はまだですが、これまでいろいろなBFリールを使ってみた限りでは特に言及するほどのことがない完成度だと思われます。