ZAION製エアローターにマグネシウム合金製モノコックボディを採用し、LTコンセプトの軽量&タフを実現した、ダイワ スピニングリールのフラッグシップモデル「18イグジスト」。

ただ、その採用したボディ材質、カスタムモデルの仕様から脱ZAION・マグシールドとする見方もあるようで、今回はそういった誤解を解いていこうと思います。



18イグジストからみる脱マグシールド & ZAIONの噂

EXIST(イグジスト) | DAIWA 60YEARS SPECIAL SITE(60周年スペシャルサイト)



ダイワ スピニングリールの最高峰『EXIST イグジスト』。

2018年にLTコンセプトを基にフルモデルチェンジされ、掲げたライト・タフの名に恥じないリールとなりました。

そんな18イグジストですが、採用したボディ材質、一部モデルの仕様から脱ZAION・マグシールドと捉える見方もあるようですが、それは早とちりなような・・・

そのあたりの誤解をそれぞれ解いていきます。



FCモデル=マグシールドレスではない

まずは「マグシールド」。

搭載されるようになってからというもの、(特にネット上では)不要論が叫ばれる防水機構。

賛否両論あるマグシールドそのものについてはひとまず置いておいて、18イグジストのカスタムモデルであるFC-フィネスカスタムでのマグシールドの扱いについて。

FCモデルは “一部” のマグシールド機構を搭載していません。

18EXISTのラインナップには、オリジナルモデルの他に「フィネスカスタム」が施されたモデルが存在する。バス、エリアトラウト、アジング、メバリング等々、 2500番以下でより繊細な釣りに用いられる番手にはさらなる軽量設計のボディを採用。オリジナルモデルではステンレスを使用したハンドルシャフトを、より軽量なアルミシャフトに変更。使用環境を慎重に見極めながら軽さと剛さの最適なバランスを図った。またさらなる軽量化のために、ラインローラーのマグシールドや、ドライブギヤ軸のマグシールドボールベアリングをあえて取り除いている。重量にしてわずか1g足らずの軽量策であっても、できることはすべてやり切りたかった。ほんの少しでも、釣り人の求める姿に近づきたい。その思いはラインナップの常識ですらゼロベースの検討課題として提起し、妥協のないスペックを実現させた。

LINE UP EXIST(イグジスト) | DAIWA 60YEARS SPECIAL SITE(60周年スペシャルサイト)



この商品説明を読んで “マグシールドレス” と勘違いしている方もいるようです。

他のFC以外の18イグジストに搭載されている、マグシールドラインローラーとドライブギア両端のマグシールドボールベアリングが搭載されていないだけでピニオンギア、ワンウェイクラッチを保護する部位のメインとなるマグシールドは残ったままとなっています。

「わずか1g足らずの軽量策」としていますが、実際は重量を気にしてのことではなく、単にラインローラー部のマグシールド、マグシールドBBが不要なための建前だと思われます。

軽くしたいのは重量ではなく、ベアリングの回転性能

多少なりとも回転抵抗のあるマグシールドBBはライトな釣りには必要性が低く、それこそ僅かでも軽量化するのなら逆転ストッパー廃止の方が妥当でしょう。



ZAION製ボディからマグネシウム合金製ボディへ回帰

18イグジストはマグネシウム合金製のモノコックボディを採用しています。

初代イグジストとなる05年モデルがマグネシウム合金製ボディ、続く12,15年モデルではザイオン製ボディを採用し、この18年モデルで再びマグネシウム合金製へ回帰。

ZAION登場時はいかにZAIONの剛性がマグネシウム合金に匹敵するか謳っていたこともあり、これだけみると確かに脱ZAIONと捉えられなくもないですね。

ただし、ZAIONの剛性アピールについては、当時マグネシウム合金の代替として打ち出すわけですから仕方のないのことなのかなと思います。

<参考>
DAIWA : ZAION – Web site
比較データなどはこちら



カーボン樹脂のZAIONから金属のマグネシウムへ戻ったとはいえ、これはあくまでフラッグシップモデル「18イグジスト」だけの話。

ZAION自体は優れた素材だとは思いますが、最上位モデルたるイグジストがいつまでもそのままでいいはずがありません。

いくら剛性がマグネシウムに匹敵するとはいってもやはり非金属。

ダイワのZAIONにシマノのCI4+といったカーボン系樹脂ボディがここまで普及した現在、フラッグシップモデルに相応しいものとはいえません。

ライバルであるシマノのフラッグシップモデル「ステラ」、リール重量・巻きの軽さを追求した「ヴァンキッシュ」もマグネシウム合金製ボディを採用しています。

ZAIONはあくまで進化の過程。

けっきょくマグネシウム合金へと戻ったものの、モノコックボディと合わさることで耐久性は従来より向上し、ライト&タフに大きく貢献しています。

従来より軽く、かつ金属ボディということで、より特別感のあるフラッグシップモデルらしくなりました。



ボディに使われなくなったZAIONですが、ローターには採用されたままとなっています。

金型の問題もあると思いますが、適材適所といったところでしょう。

<追記>

イグジストは確かに脱ZAION製ボディとなりましたが、それはフラッグシップモデルだからこそであって下位モデルには今後もZAIONが広く使われることでしょう。

ZAIONは最高峰のリールには相応しくないものの、軽い、実用に耐える剛性・強度、錆びない理想的な素材です。

マグネシウムやアルミといった金属ボディが求められるのは、磯ヒラやショアジギング、あとは使い手の好み次第。

陸からの釣り全般には、ダイワのZAION、シマノのCI4+といったカーボン系樹脂で十分です。