シマノ 「19 ストラディック」フルベアリングカスタム。
後編は「ボディ内部(ウォームシャフト両端)」と「ローターナット」へベアリングを追加してみました。
ボディ内(ウォームシャフト両端)にベアリングを追加する方法
シマノ 「20 ヴァンフォード」のボディ内(ウォームシャフト両端)にベアリングを追加する方法を紹介します。
必要なベアリングにツール、追加方法を解説。
今回はボディ内部ということである程度リールの分解に慣れている方向けです。
リールの改造はくれぐれも自己責任でお願いします。
必要なベアリング&ツール
必要なベアリング、ツールがこちら。
<ベアリング>
・DDL-520ZZW52
外径5mm x 内径2mm x 幅2.5mm
・DDL-630ZZ
外径6mm x 内径3mm x 幅2.5mm
NMB(ミネベア)のステンレス製ベアリングならいずれも300円しない程度。
<ツール>
・六角棒レンチ 0.89mm
・メガネレンチ 12mm(クランク形状のもの)
・ヘクスローブドライバー T6,T8
・プラス・マイナスドライバー 各サイズ
ボディ内のベアリングにはグリスを推奨
ボディ内部のベアリングには基本的にグリスを用います。
(回転性能より持続重視)
今回使用するベアリングは、どちらもシールドベアリングなので専用のツールを使ってグリスを充填します。
なければシールドの隙間にスプレーグリスを吹けば多少は入るかと思います。
ベアリング追加の作業手順
スプールシャフト一式の分解方法は前編記事をご参照ください。
ここから「ボディ内ウォームシャフト」、「ローターナット」へのベアリング追加作業。
まずはリテーナーを固定しているネジを外します。
これでリテーナーとローターツバが外せます。
次はローターナット。
パッキン(シール)毎12mmのめがねレンチでナットを緩めて外します。
ローターナットは基本逆ネジですので回す方向に注意。
これでローター本体が外れます。
次はローターカラーとフリクションリング。
フリクションリングはゴムのような素材で嵌っているだけなので、マイナスドライバーなどを隙間に挿して拡げて外します。
(ローターカラーはローター裏側に着いたまま外れることもあります)
次はローラークラッチを固定しているネジ3本を外します。
これでローラークラッチが外せるわけですが、外す際はローラークラッチ内の部品がバラバラにならないように注意しましょう。
現行シマノのローラークラッチは内部のローラーが分解の際に誤って抜け落ちてしまいやすいため、ローラークラッチを下に向けて引き抜くと安全に外せます。
次はいよいよボディ。
まずボディ後方のボディガードを外します。
ボディガードを固定しているネジ1本をT6のヘクスローブドライバーで外すだけです。
ボディ本体は右側3箇所に、
(内1本はT8のヘクスローブドライバーが必要)
左側1箇所。
ネジの種類がそれぞれ異なるので間違いにくいかと思います。
右側は通常のネジで左側はタッピングビスになっています。
これでボディを開くことができます。
ボディを開ける際の注意点として、ドライブギアの軸・歯が干渉してすんなりとは抜けないはずです。
少しズラすように動かしながら抜くと外れるので、くれぐれも力づくで強引に引き抜こうとしてはいけません。
そしてボディ内部、ウォームシャフト一式の分解です。
まず、振動子ガイドとウォームシャフトにフタをしている後部のネジを外します。
振動子ガイドは前側に抜けますが固く抜きにくいかと思います。
後部のグリスがべったりと塗られたプラスネジを外します。
これでメインシャフト組・ウォームシャフトピンの固定が解けるので下側に動かし、ウォームシャフト一式を取り外します。
取り外したウォームシャフト一式。
白い樹脂製のカラーをベアリングに交換します。
ドラグ側・ウォームシャフト前側にあるカラーは、ボディ内部に収まったままウォームシャフトと一緒に外れにくいと思いますのでピンセットなどを使い個別で外します。
前側にベアリング(DDL-520ZZW52)を嵌め込みます。
(これはちょっとグリス盛り過ぎですね)
後ろ側に2種の座金にベアリング(DDL-630ZZ)を嵌め込んで追加完了。
後は元通りに組み直すだけです。
ローターナット内にベアリングを追加する方法
ついでにローターナットへのベアリング追加もやっておきます。
こちらは簡易式ローターナットベアリング(後述)になるので、正直なところ追加する必要はないかと思います。
入るのなら入れてしまおうの精神。^^;
必要なベアリング&ツール
必要なベアリング、ツールがこちら。
<ベアリング>
・DDL-840ZZ
外径8mm x 内径4mm x 幅3mm
NMB(ミネベア)のステンレス製ベアリングならいずれも300円しない程度。
<ツール>
・六角棒レンチ 0.89mm
・メガネレンチ 12mm(クランク形状のもの)
ベアリング追加の作業手順
「19 ストラディック」のローターナットがこちら。
ローターナット内の部品をバラすとこんな具合に。
ローターナット内のカラーはローターナットの裏側からマイナスドライバーなどで押せば外れます。
抜いたカラーをベアリングに交換するわけですが、「20 ヴァンフォード」のものとは微妙に形状が異なります。
ヴァンフォードのものにはなかった段差があり、この違いがベアリングを配置した際に何か影響するのかと思いきや特に関係ない様子。
というわけでそのままベアリング(DDL-840ZZ)を嵌め込みます。
Oリングが微妙に嵌まらないので使わず、座金、(写真には写っていませんが)リテーナーでフタをして完成です。
リテーナーがシールと座金を押さえつけているので、少なくともベアリングが外れることはありません。
ただし、しっかりとベアリングが固定されているわけではないので僅かなノイズなどが生じる可能性があります。
上位モデルのローターナットベアリングと構造が異なるようなので、あくまで “簡易版” ローターナットベアリングということで。
正直なところ、下手にベアリングにしないほうが良いのかもしれません。
19 ストラディック MAX12BB フルベアリング仕様
5箇所に計6BB追加で標準の6BBからMAX 12BBのフルベアリング仕様と「19 ストラディック」。
「入るのなら入れてしまおう」の精神でベアリングを追加するとこうなりますが、実用性、余計な不具合を生じさせるリスクを避けるなら、「スプール受け」、「ハンドルノブ」への追加で十分です。
「ウォームシャフト」への追加は効果があると思いますが、ある程度リールの整備に慣れた方向け。
「ラインローラー」、「ローターナット」へ追加する効果は、あってないようなものかと思います。
また、ラインローラーへの追加は、Xプロテクト(特殊撥水グリス)の効果を弱めることにも繋がります。