ダイワ スピニングリールの最高峰「EXIST」がフルモデルチェンジ。

新たな設計思想「エアドライブデザイン」によって進化した「22 イグジスト」。

新たな技術に前モデルからの進化点、しれっと変わっている各番手のサイズ感を解説します。

メーカー公式サイト以外に以下のサイトも参考。

一部画像を引用しています。

ルアーニュースR:【22イグジスト】大注目のダイワ・フラッグシップスピニングリールを山田ヒロヒトが詳しく解説

ルアマガ+:EXIST(22イグジスト)がフルモデルチェンジ! 新設計思想エアドライブデザインが実現する近未来の操作性

性能だけでなく、質感も向上された NEW EXIST

EXISTであること。

スピニングリールの未来基準となる
最新鋭テクノロジー。
心を昂らせる風格あるたたずまい。
ダイワの誇るフラッグシップモデル。
それがEXISTだ。

出典・キャプチャ元:EXIST(イグジスト)|DAIWA

昨年ほぼ「18 イグジスト」と同スペックの「21 ルビアス エアリティ」が発売され、モデルチェンジが期待されたイグジスト。

今回のモデルチェンジではリール性能だけでなく、”質感” も向上しているようです。

【デザイン】 シマノがやりそうな流線美

まだ実物を見たわけではありませんが、カタログの画像や宣材写真を見る限りメッキ調で流線形のボディ&ローターを採用。

前モデルからデザインの方向性?が変わったようでまるでシマノが出しそうなリールのよう。^^;

今回はボディだけでなく、ローターにもネジ頭の露出のない(見えにくいようになっている)流麗なデザインとなっています。




新たな設計思想 「AIRDRIVE DESIGN(エアドライブデザイン)」

昨年ベイトリールで新しく取り入れられた設計思想「ハイパードライブデザイン」に続き、スピニングリールも新たな設計思想が登場。

それが「AIRDRIVE DESIGN(エアドライブデザイン)」。

「エアドライブデザインは、釣り人が求める、意のままにルアーを操作することを追求した次世代スピニングリールの設計思想。」とのことでリールの前側(スプール&ローター)の軽量化などにより、軽快な巻き心地と操作性を向上させています。

【エアドライブローター】 軽量・低慣性を更に追求

エアドライブデザインで前モデルから一番大きく変わった、進化したのがローター。

形状を見直すことで従来のエアローターと同等の剛性を実現しつつ、更なる軽量化を遂げ誕生したのが「エアドライブローター」。

ローターユニットで約16%の軽量化(2500番比較)とのことで前以上に巻き出しの軽さ、回転レスポンスが向上していることでしょう。

メッキのような外観から一見金属製のように見えますが、材質は変わらずカーボン合成樹脂素材の「ZAION(ザイオン)」製。

発表前はG1ジュラルミン製で軽さを維持しつつ剛性アップを図った新ローターなんてものを妄想をしていただけにインパクトは弱いものの、ダイワと言えばやはり軽量・低慣性ローターですので方向性はやはりこうでないと。

ただし、角度によってチューリップみたいに見える外観は正直あまり好きではありません。^^;

【エアドライブベール】 軽量化にツイストバスター2が3にVerUP

中空パイプ構造により他社と比べると太く、ひと目でダイワと分かる特徴的なエアベール。

これまであまり大きな変化のなかったエアベールですが、ついにベール径が小口径化され軽くなった「エアドライブベール」が誕生しました。

十分な強度を確保しつつも軽量化され、更にベール角度を見直すとことでベールからラインローラーへのスムーズなライン移行を実現しトラブルレス性も向上しています。

また、ラインローラーのテクノロジーであるツイストバスターⅡも「ツイストバスターⅢ」へ進化。

新たな溝を設けることで、ラインローラーを通過する糸のバタつきを抑制します。

その他、性能面以外にベールの開閉構造?が変わったのか、開閉時の感触・音がシマノのようになっているようです。

これまでのダイワ製スピニングリールでは特に意識されていなかった要素ですね。

【エアドライブスプール】 「ATD TYPE-L」へ進化

スピニングの外観において、リールの顔とも言えるスプール。

シルバーのみのソリッドなデザインで性能だけでなく、機能美をも併せ持たせた「エアドライブスプール」。

スプール下部のエッジに糸落ち防止のネズミ返しを設けることで、メインシャフトへのラインの巻き込みを軽減。

また、ドラグ音量、音質にもこだわりつつ作動抵抗の少ないドラグ発音機構を新たに採用し、ドラグ作動時のレスポンスも向上しています。

スプールエッジ形状は前モデルと同じ「ロングキャストABS」。

スプール内に搭載されるドラグは、従来のATDから「ATD TYPE-L」に進化。

従来のATDで難とされた、瞬発的に引っ張られたときのドラグ値の上昇を抑えたセッティングを施し、ドラグの初動レスポンスが向上されています。

スプールの互換性は前モデルと同じ「TYPE-EX」互換グループ。

同一番手の「18 イグジスト」、「19 セルテート」、「21 ルビアスエアリティ」と互換性があります。

【エアドライブシャフト】 リニアシャフトを更に高精度化

現行のスピニングリールでルビアス以上のグレードに搭載されるテクノロジー「リニアシャフト」。

メインシャフトをピニオンと非接触構造にすることで摩擦抵抗をゼロにし、高負荷が掛かった際の巻き上げパワーロスを限界まで抑える効果があります。

これを更に高精度化し、進化したのが「エアドライブシャフト」。

高精度化とありますが、ピニオン両端をBBで支持するのはリニアシャフトも同じなので「メインシャフトを高精度なカラーで支持」というのが新要素でしょうか。




前モデルとの共通点、一部マイナーチェンジ

「18 イグジスト」から「22 イグジスト」へモデルチェンジといってもすべてが新しくなっているわけではありません。

前モデルとの共通点、一部マイナーチェンジされたポイントを紹介します。

【ボディ】 メタル(マグネシウム合金)製モノコックボディ

22イグジストのボディは、前モデルと同じく Mg(マグネシウム合金)製 モノコックボディ

形状に大きな変化はないようで前モデルにあった肉抜き穴に、特殊な構造の逆転ストッパーはオミットされているようです。

逆転ストッパーはその変わった構造からトラブルの素になる場合があったようなので廃止して正解でしょう。

【ギア】 歯面が特殊処理された超々ジュラルミン製MCタフデジギア

メタルモノコックボディに搭載されるギヤは、超々ジュラルミン製 MC(マシンカット)タフデジギア

モデルチェンジでG1ジュラルミン製にグレードが上がるかと期待していましたが、材質は前モデルと同じです。

ただし、完全に同一というわけではなく、ギアの歯面に特殊処理を施すことで強度アップが図られているとのこと。

また、ラインナップで3000番ボディ以上となる「PC LT3000」、「LT4000」、「LT5000-C」のXHギアモデルには、ソルティガ等で実績のある高強度ピニオンを採用。

特に負荷の掛かるハイギアモデルの耐久性向上はありがたいですね。

【マグシールド】 完璧といえる防水防塵機構

マグシールドは、以下の3箇所に搭載されています。

・ピニオン上部(メインシャフト付け根、ボディとの接触点)

・ドライブギア両端部(マグシールドBB)

・ラインローラー部

とりわけEXISTシリーズにおいては、ボディ内部と外界の回転部接点はマグシールドとマグシールドBB、非回転部接点はパッキン、さらに継ぎ目がなく水や塩の浸入経路のないモノコックボディを採用したことで、ボディ内部は完全密閉され、完璧といえる防水防塵状態に保たれている。これは汎用リールでは、ハイエンドのEXISTのみに搭載される特別なスペックだ。ちなみにEXISTは、一台ずつ、徹底的に気密テストを行ったうえで送り出している。

↑こんな文面があり、イグジストは特別防水性が高いようです。

水没させても問題なさそうなイラストですが、避けた方が懸命です。




22イグジストのラインナップ・スペック

22イグジストのラインナップは、LT2000~LT5000-Cの全14種。

品名 ギア比 巻取り長 自重 最大ドラグ力 標準巻糸量(ナイロン) 標準巻糸量(PE) ハンドル長 ハンドルノブ仕様 ベアリング 価格
LT2000S-P 4.9 64cm 155g 5kg 3lb-150m 0.4号-200m 40mm HG-I ライト 12/1 100,000円
LT2000S-H 5.8 76cm 155g 5kg 3lb-150m 0.4号-200m 45mm HG-I ライト 12/1 100,000円
LT2500S 5.1 72cm 160g 5kg 4lb-150m 0.6号-200m 50mm HG-I ライト 12/1 101,000円
LT2500S-H 5.8 82cm 160g 5kg 4lb-150m 0.6号-200m 50mm HG-I ライト 12/1 101,000円
LT2500S-XH 6.2 87cm 160g 5kg 4lb-150m 0.6号-200m 50mm HG-I ライト 12/1 101,000円
LT2500S-DH 5.1 72cm 170g 5kg 4lb-150m 0.6号-200m 90mm HG-I ライト 14/1 104,000円
PC LT2500 5.2 73cm 175g 10kg 6lb-150m 0.8号-200m 50mm HG-T 12/1 102,000円
LT3000S 5.2 77cm 180g 10kg 6lb-150m 0.8号-200m 55mm HG-T 12/1 103,000円
PC LT3000 5.2 77cm 190g 10kg 8lb-150m 1号-200m 60mm HG-T 12/1 104,000円
PC LT3000-XH 6.2 93cm 190g 10kg 8lb-150m 1号-200m 60mm HG-T 12/1 104,000円
LT4000 5.2 82cm 205g 10kg 12lb-150m 1.5号-200m 60mm HG-T ラージ 12/1 105,000円
LT4000-XH 6.2 99cm 205g 10kg 12lb-150m 1.5号-200m 60mm HG-T ラージ 12/1 105,000円
LT5000-C 5.2 87cm 220g 10kg 20lb-150m 2号-300m 60mm アルミラウンド 12/1 108,000円
LT5000-CXH 6.2 105cm 220g 10kg 20lb-150m 2号-300m 60mm アルミラウンド 12/1 108,000円

前モデルから新たにラインキャパの多い「LT5000-C」、新表記「PC-パワーカスタム」が追加。

反対にFC-フィネスカスタムモデル、LT3000-C/LT4000-Cの「-C」表記がなくなっています。

新表記「PC-パワーカスタム」

新たに「PC-パワーカスタム」という表記が加わりました。

ろくに解説されていませんが、ワンサイズ大きいボディを採用しているようです。

詳細は後述しますが、あくまで「22 イグジスト」のみに適用される表記だと思われます。

FCモデルは? LT2500はコンパクトボディのLT2500-C

22イグジストのラインナップには、前モデルにあった「FC-フィネスカスタム」モデルがありません。

FCモデルの特徴として、以下の2つが挙げられます。

・一回り小さなボディを採用(1000番ボディ)
・一部のマグシールド非搭載(ピニオン上部のみ)

まずボディですが、「LT2500」と「PC LT2500」でボディサイズが異なります。

「LT2500」は#1000サイズ、「PC LT2500」は#2500サイズを採用。

本来の表記では「LT2500-C」と表記するはずですが、「22 イグジスト」はコンパクトボディ準拠なようです。

次にマグシールドですが、今回の22イグジストは全番手が3箇所へのマグシールド搭載となっており、FCの要件を満たしません。

22イグジストのみ? コンパクトボディ準拠でややこしいボディサイズ

22イグジストでは、「FC」の他にLT3000とLT4000に「-C」表記がなくなっています。

「22 イグジスト」はコンパクトボディ準拠なようで、これまでのLT機と比べてスプール番手とボディの組み合わせが1サイズ異なります。

従来機(LT前) 18 イグジスト ボディサイズ 22 イグジスト
FC LT2000 #1000 LT2000
FC LT2500-C #1000 LT2500
LT2500 #2500 PC LT2500
2500 LT3000-C #2500 LT3000
2500R LT3000 #3000 PC LT3000
LT4000-C #3000 LT4000
3000 #3000 LT5000-C

このため、新表記である「PC」は、
・22イグジスト準拠で一回り大きなボディ
・従来のLT機準拠だと番手ままのボディサイズ
を採用しているという意味になります。

この辺りはラインナップ・スペック表に記載しておいて欲しいところです。

この度、ラインナップ表に今までなかったスプール径の項目が追加されていますが、スプール径は従来と変わっていません。
(記載する必要がなかったため、上記の表では省きました)

変わっていないものを表記するくらいなら変わったものをきちんと明記すべきです。

ルビアスのFC表記といい、ダイワはユーザーを騙したいのでしょうか。

リールのサイズ感(スプールとボディサイズの組み合わせ)、スプール互換などをしっかりと掲載しているシマノを見習うべきです。

性能だけでなく質感が向上したNEWイグジスト

良い意味でも悪い意味でも話題となってくれそうなモデルチェンジを果たしたNEWイグジスト。

前モデルから散々期待された上位素材(G1ジュラルミンやチタン)の採用はありませんでしたが、ダイワの強みである低慣性ローターによるレスポンスは向上していそうです。

今回、リールの性能だけでなく、追求された “質感” 。

今までのダイワにはあまりなかったデザインに、はっきり言ってしまうとシマノ(特にステラ)を意識したベールの開閉音。

リール性能とは直接関係のない要素への力の入れようが見られます。

【ブランディング】 大幅値上げの要因はここ? フラッグシップ品質

「22 イグジスト」のモデルチェンジでまず話題になったのがその価格。

前モデル「18 イグジスト」の価格が7万円台だったのに対し、「22 イグジスト」では驚きの税込み定価10万円台となりました。

昨今の情勢から材料費が高騰し、ある程度の値上げは避けられないでしょうが3万円もの値上げとは…。

正直言って値上げ分ほどの性能アップがみられないだけに疑問に感じていた部分ですが、どうも別の方へリソースが割かれているようで・・・

それが品質・アフターサービスの向上

以下、画像引用元:ルアーニュースR

まず、明らかに以前とは違う高級そうな大きな外箱へ変わっています。

まぁこんなものは序の口で今までなかった「出荷検査合格証」と「EXISTオーナーサポートシステムのご案内」なるものが付属します。

出荷検査合格証:EXIST認定検査員による厳格な検査を合格して出荷されたという証

EXISTオーナーサポートシステムのご案内:シリアルナンバーとアクセスコード用いたEXISTオーナーの無料会員制度(ダイワ初のサポート体制)

詳細は以下を参考のこと。

REVOLUTION(レボリューション)|EXIST|DAIWA

要するにフラッグシップモデルとして確かな品質を保証しますよ、おかしなところがあれば親身に相談に乗りますよ、ということらしいです。

フラッグシップモデルとはいえ、リールに個体差はつきもの。

最上位モデルを購入して微妙な個体を引いてはたまったものではありませんから良いサービスだと思います。

3万円値上げの定価10万円といっても、実売価格は値下げ率もあり前モデルから+1万~1万5千円ちょっとの8万~9万に収まるようです。
(18イグジストはほぼ定価販売でしたから)

(自分は買えませんが)普段からイグジストを購入してきたユーザーにはなんてことのない値上げでしょう。