ダイワからしばらく出ていなかった手頃な価格帯の大型スピニングリールが登場。
メタル製モノコックボディを採用した海外モデル「BG MQ」の日本仕様モデル「22 カルディアSW」。
ライトショアジギングやSLJにちょうどいい4000番からこの価格帯では珍しい大型番手(18000番)まで幅広いラインナップ。
<2/10 追記>
ローター材質について追記ました。
海外モデル「BG MQ」の日本仕様「22 カルディアSW」
モノコックボディ搭載で好評のCALDIAに待望のSWシリーズ登場
SWスピニングの新定番がデビュー。
フルメタル(AL製)モノコックボディに大口径タフデジギアを搭載し、パワフルかつ軽快な巻き上げ。
9アイテム、4000サイズ〜18000サイズという幅広いラインナップで人気のライトショアキャスティングやSLJ〜ヒラマサキャスティング、マグロキャスティングといったビッグゲームまで、ソルトルアーゲームを完全網羅。
海外モデル「20 BG MQ」がベース
「カルディアSW」は、2020年に海外で発売された「BG MQ」がベースとなっています。
「BG MQ」の主要スペックがこちら。
・フルメタル(アルミ)製モノコックボディ
・エアローター(DS4/DS5製)
・タフデジギア(亜鉛ダイキャスト製)
・ロングキャストABS
・大口径ドラグノブ
・ATD
・ねじ込み式ハンドル
【デザイン】 「21 カルディア」に共通するカラーリング
「カルディア」という名称を使っているためか、「21 カルディア」と同系統のカラーリングをしています。
画像でみる限り「16 セルテート」に近いカラーですね。
参考サイト・動画
ルアマガ+:ミドルクラスリール『NEWカルディアSW(DAIWA)』待望のデビュー! マグロも視野に入れたラインナップに注目!!
カルディアSWの特徴とスペック
「カルディアSW」のスペックをチェック。
ベースとなった「BG MQ」+αの性能を備えた日本仕様に相応しいリールとなっています。
【ボディ】 アルミ製 フルメタルモノコックボディ
ボディはアルミ製フルメタルモノコックボディを採用。
もはや説明不要の高剛性ボディ。
大型魚を相手にするSWリールにこれ以上のないボディです。
更に逆転ストッパーのないストッパーレスで防水性にも優れています。
【ギア】 大口径タフデジギア(亜鉛)
モノコックボディに搭載されるギアは、大口径のタフデジギア。
材質は耐久性に優れたアルミ(超々ジュラルミン)製ではなく、残念ながら亜鉛ダイキャスト製となります。
大型リールとしては耐久性に劣り不安要素になる亜鉛ギアですが、亜鉛の中では一番良いグレードを用いているようです。
【ローター】 高強度樹脂(DS4/DS5)製 エアローター
ローターには、高強度樹脂素材のDS4/DS5製エアローターを搭載。
4000/5000番がDS5、6000番以上がDS4製となります。
さすがに目新しい「ZAION V」とまではいかず、価格帯からいって仕方ありません。
【ベール】 トラブルレスなエアベール
ベースとなった「BG MQ」では、廉価版のベールが採用されていました。
ラインローラーとの段差が大きく、日本では好まれないベールです。
これがカルディアSWでは、見慣れたエアベール(ワンピースベール)に変更されています。
これによりベールからラインローラーへのスムーズなラインの移行を実現し、トラブルレス性が向上しています。
【ドラグ】 カーボンワッシャー搭載のATD
ドラグは定番のATD-オートマチックドラグを採用。
ワッシャーには耐久性に優れたカーボンワッシャーを採用し、最大ドラグ力も向上しています。
また、大口径ドラグノブにより、ドラグ力の調整を容易にします。
ちなみにスプール受け側はこうなっています。
出典:Aliexpress
写真は「BG MQ」ですが、カルディアSWも同等でしょう。
上位モデルに採用されているベアリング(またはカラー)で支持する構造ではなく、簡易版と思われます。
【防水機構】 マグシールド搭載
最近のダイワリールならほとんどの機種に採用されているマグシールドですが、ベースの「BG MQ」は非搭載でした。
カルディアSWでは、当然ながらマグシールドを搭載しています。
(ピニオンギア上部のみ)
【まとめ】 「BG MQ」からの進化点
「カルディアSW」のスペック、「BG MQ」からの進化点をまとめると、
<「BG MQ」 スペック>
・フルメタルモノコックボディ(アルミ製)
・エアローター(DS5製)
・タフデジギア(亜鉛ダイキャスト製)
・ロングキャストABS
・大口径ドラグノブ
・ATD
・ねじ込み式ハンドル
これに
・エアベールの採用
・マグシールド搭載
が加わりました。
また、番手に応じたハンドルノブが採用されています。
カルディアSWのラインナップと互換性
カルディアSWのラインナップは、4000番から18000番まで全9種。
ライトなショアジギングからオフショアのキャスティングゲームまで幅広く対応します。
各番手のサイズ感(ボディサイズ)に、スプールなどの互換性についても解説します。
カルディアSWのラインナップ・スペック表
品名 | ギア比 | 巻き取り長 | 自重 | 最大ドラグ力 | 標準巻糸量(PE) | ハンドル長 | ハンドルノブ | ベアリング | 価格 |
4000-CXH | 6.2 | 99cm | 290g | 12kg | 1.5号-200m | 60mm | パワーライトノブL | 6/1 | 32,000円 |
4000D-CXH | 6.2 | 99cm | 290g | 12kg | 2号-300m | 60mm | パワーライトノブL | 6/1 | 32,000円 |
5000D-CXH | 6.2 | 105cm | 295g | 12kg | 2.5号-300m | 60mm | パワーライトノブL | 6/1 | 32,000円 |
6000S-H | 5.7 | 101cm | 430g | 12kg | 3号-300m | 65mm | パワーライトノブL | 6/1 | 35,000円 |
6000D-H | 5.7 | 101cm | 425g | 12kg | 3号-300m | 65mm | パワーライトノブL | 6/1 | 35,000円 |
8000-H | 5.7 | 110cm | 630g | 15kg | 4号-300m | 75mm | EVA大型ラウンドノブ | 6/1 | 38,900円 |
10000-H | 5.7 | 121cm | 645g | 15kg | 5号-300m | 75mm | EVA大型ラウンドノブ | 6/1 | 38,900円 |
14000-H | 5.7 | 122cm | 640g | 15kg | 6号-300m | 75mm | EVA大型ラウンドノブ | 6/1 | 38,900円 |
18000 | 5.3 | 125cm | 845g | 20kg | 8号-300m | 85mm | EVA大型ラウンドノブ | 6/1 | 45,400円 |
カルディアSWのボディサイズ、スプール・ハンドルの互換性
カルディアSWのサイズ感(ボディサイズ)と互換性がこちら。
番手 | ボディサイズ | スプール | ハンドル | ハンドルノブ |
4000-C | 汎用(3000番) | ○ | ○ | Sサイズ |
5000-C | ||||
6000 | 小(4000番) | 6000のみ | 6000のみ | |
8000 | 中(10000番) | ○ | ○ | Lサイズ |
10000 | ||||
12000 | ||||
18000 | 大(20000番) | 18000のみ | 18000のみ |
ボディサイズは、汎用リールと同じ「3000番」に、大型リールの「小(4000番)」、「中(10000番)」、「大(20000番)」の計4サイズ。
スプールは、「4000-5000」、「8000-10000-12000」間にそれぞれ互換性があります。
6000番と18000番は単一で同番手間のみ互換。
また、同番手でも上位モデル「ソルティガ」や「セルテートSW」との互換性はありません。
今のところカルディアSW用のオプションスプール(カスタムスプール)はありません。
カルディアSWをライバル機種と比較
カルディアSWをライバル機種であるシマノの「ストラディックSW」と、その他、購入候補に上がりそうなリールと比較してみました。
比較機種は以下の3つ。
・ダイワ 「18 ブラストLT」
→ 価格帯が近い
・シマノ 「20 ストラディックSW」
→ 同価格帯、一番のライバル機種
・シマノ 「21 スフェロスSW」
→ 実はそんなにスペックは変わらない? 購入候補の1つとして
これら3機種のスペックを比較してみました。
スペック比較 | 21 スフェロスSW | 18 ブラスト LT | 20 ストラディックSW | 22 カルディアSW |
ボディ特性 | 半プラ※1 | – | 半プラ※1 | モノコック |
ボディ材質 | アルミ(脚)+高強度樹脂(ギアボックス) | アルミ | アルミ(脚)+高強度樹脂(ギアボックス) | アルミ |
ローター材質 | 高強度樹脂 | 高強度樹脂(DS4) | 高強度樹脂 | 高強度樹脂(DS5) |
ギア特性 | HAGANEギア(冷間鍛造) | MC(マシンカット)デジギア | HAGANEギア(冷間鍛造) | タフデジギア(大口径) |
ギア材質 | アルミ(超々ジュラルミン) | アルミ(ジュラルミン?) | アルミ(超々ジュラルミン) | 亜鉛ダイキャスト |
ハンドル | ねじ込み式 | ねじ込み式 | ねじ込み式 | ねじ込み式 |
自重 | 6000:450g
8000:665-670g |
4000:270g
6000:370g |
4000:300g
6000:440g 8000:645-650g |
4000:290g
6000:425-430g 8000:645-630g |
ドラグワッシャー | カーボンクロス | フェルト | カーボンクロス | カーボン |
スプール受け構造 | 簡易版 | 標準(BB追加化) | 標準(BB追加化) | 簡易版? |
ベール | 廉価版 | ワンピースベール | ワンピースベール | ワンピースベール |
ラインローラーBB | -(追加可) | -(追加可) | 1BB | -(追加可) |
防水機構 | Xシールド、Xプロテクト
(ピニオン上部、ラインローラー) |
マグシールド
(ピニオン上部) |
Xシールド、Xプロテクト
(ピニオン上部、ラインローラー) |
マグシールド
(ピニオン上部) |
ベアリング数 | 4/1 | 6/1 | 6/1 | 6/1 |
ラインナップ | 5000/6000/8000 | LT4000/LT5000/LT6000 | 4000/5000/6000/8000/10000 | 4000/5000/6000/8000/10000/14000/18000 |
価格 | 16,800~18,600円 | 28,000~29,000円 | 32,000~37,900円 | 32,000~45,400円 |
「ストラディックSW」は4000番と5000~10000番でスペックが異なり、4000番のボディは「19 ストラディック」ベース。
駆動方式が異なり、4000番のみウォームシャフト、5000~10000番はダイワと同じS字カム方式となっています。
半プラ※・・・アルミ製のリールフット(脚)と高強度樹脂製のギアボックスで構成されたハイブリッドボディの俗称
【シマノと比較】 ギア材質の差は絶大
ライバル社であるシマノと比較すると、どうしてもギア(材質)の差に目が留まります。
「亜鉛ダイキャスト製 タフデジギア」と、「超々ジュラルミン製 冷間鍛造HAGANEギア」。
耐久性で言えば間違いなく超々ジュラルミン製に軍配が上がることでしょう。
カルディアSWと同価格帯のストラディックSWはもちろんのこと、下位のスフェロスSWにまで搭載されているのは大きいです。
ボディを比較するとフルメタルモノコックボディに軍配が上がりそうですが、イメージが悪いだけで半プラボディにも十分な強度があり、これまで特に異常や問題のあった話は聞きません。
カルディアSWがシマノに勝っているポイントは、ボディと豊富なラインナップ。
スフェロスSWは5000~8000番、ストラディックSWは4000~10000番までのラインナップ。
手頃な価格帯でラインキャパの多い14000番に大型の18000番はカルディアSWくらいしかありません。
【ブラストLTと比較】 ライトショアジギングやSLJならこちらもあり?
LTコンセプト導入期に発売された「18 ブラストLT」。
「15 フリームス」のアルミ製ボディを流用し、LTコンセプト化させたモデルでギアにはアルミ(ジュラルミン?)製のギアを搭載しています。
設計としては古い部類に入りますが、上記のアルミ製ギア搭載もあり悪くないスペックです。
ラインナップが少なく、カルディアSWとは少番手しか被りませんが、4000番クラスならこちらもあり…?
同価格なら迷うところですが半額近くまで安くなっている場合は一考の価値ありです。
カルディアSWは買いのか
けっきょくのところ「カルディアSW」は買いのリールなのか。
フルメタルモノコックボディのインパクトこそ大きいものの、やはりギアやローターがネック。
特に大型番手に関してはSNS(Twitter)上で否定派と肯定派に分かれ、ちょっとした炎上騒ぎになるほど。
傍から見ているとSNSにありがちな承認欲求満たしのマウントの取り合い、いいね稼ぎでしたが…
スペックをじっくり眺め、ライバル機種と比較すると正直言って微妙です…。
カルディアSWは大型SWスピニングのエントリーモデル寄り
パワー・耐久性が求められる大型SWスピニングリールにおいて、カルディアSWはミドルレンジ帯というよりはエントリーモデルに近い位置づけです。
スプールはこのカルディアSWのみ互換で他に流用が効きませんし、(これは使用者によりますが)修理してまで長く使うグレードではありません。
今のところカルディアSWの上位モデルは一気に上の「セルテートSW」になり、そのスペック&価格差は歴然。
この間を埋める機種があれば良いのですが “今のところ” ありません。
シマノと比較すると「(十分なスペックを備えた)手頃な価格帯の大型SWスピニング」は、ダイワの数あるリールの中で特に弱いカテゴリーです。
セルテートSWとの間を埋めるリールがいずれ出る可能性
「カルディアSW」と「セルテートSW」の間を埋めるリールが海外では既に発売されています。
それがフルメタルモノコックボディにジュラルミン製ギア、ZAION製エアローター搭載の「ソルティストMQ」。
詳細はこちら↓
これぞミドルレンジといったスペックを備えています。
「BG MQ」が2020年発売で日本向けのカルディアSWは2022年に発売。
「ソルティストMQ」は2021年発売なので「ソルティストMQ」ベースの日本仕様モデルは順当にいっても2023年以降でしょう。
そもそもとして発売されるかすら分かりません。
カルディアSWを選ぶ上でのポイント
・ギアが亜鉛ダイキャスト製
「いくらギアが良くてもボディが弱ければ~」なんて言われていますが、反対にいくらボディが強くともギアが弱ければあまり意味をなしません。
亜鉛だからといってすぐにガタがくるわけではありませんが、やはりジュラルミン製が望ましいです。
・ギア比の選択肢がない
18000番以外はXH-エクストラハイギア、H-ハイギアのみ。
キャスティングゲームならハイギアが妥当なのでしょうが、ジギングも考慮すると6000番と8000番にPGが欲しいところでした。
ベースリールと同じギア比設定なので日本用にPG設定もありかと思います。
それにハイギアはギアへの負担が高めなのもあります。
・希少なお手頃価格の大型番手(12000/18000)
実売3万円台の12000/18000番は珍しく、少なくともシマノにはありません。
これに価値を見い出せればカルディアSWの選択はありなのでしょう。
近年流行しているサワラのボートキャスティングゲームやライトショアジギング、SLJ向きの4000番クラスは実売2万円半ばと手頃なので深く考えずに試しに買ってみるのも悪くなさそうです。