ダイワ スピニングリールの新旧2500番のドラグ特性の違いについて。
ドラグワッシャー構成の異なるものが混在する2500番。
従来機 2500番(2506/2508/2510)と、LTコンセプト機 2500番(LT2500S/LT2500/LT2500D)でそれぞれ何が違うのかを解説します。
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【ドラグ特性】 単板式と多板式の違いと特徴
まずはドラグの説明から。
汎用小型スピニングリールのドラグには、ドラグワッシャーが1枚で構成された単板式と、複数(主に3枚)で構成された多板式があります。
上の画像で4番がドラグワッシャー
それぞれの特性から1000-2000番が単板式、3000番以上から多板式が採用され、汎用性の高い2500番のみ単板式と多板式の両方が採用されています。
ドラグの滑り出しに優れた単板式ドラグ
ドラグワッシャーが1枚というシンプルな構成の単板式は、ドラグの滑り出しに優れているのが特徴。
主にライトラインを用いるフィネスな釣り全般で使われます。
ワッシャー1枚というシンプルな構成から小さな力でも動作し、ドラグの追従性に優れ、細かな調整が可能となっています。
最大ドラグ力が強い多板式ドラグ
複数枚(主に3枚)のドラグワッシャーで構成された多板式は、最大ドラグ力が強いのが特徴。
複数のワッシャーで摩擦力を高め、単板と比べてドラグの滑り出しは劣るものの、最大ドラグ力が強くなっています。
基本的に単板では魚の引きを止められない、ワッシャーが耐えられない釣り向き。
単板ドラグほど細かな調整は利かず、調整幅はやや大味で、釣種や釣り人の技量によってファイト中にドラグを調整することもしばしば。
ここまでだと単板ドラグに劣っている印象を持たれるかもしれませんが、あくまで多板ドラグが標準で単板がフィネス特化のドラグシステムとなっています。
【余談】 ATDの登場により大幅に向上したダイワドラグ
ダイワのドラグシステムには、「TD-トーナメントドラグ」、「UTD-アルティメットトーナメントドラグ」、そして2015年に登場した「ATD-オートマチックドラグ」の3種があり、現行スピニングリールのドラグはATDが主流となっています。
ATDはややクセがあり、発表からしばらくは賛否両論で話題となっていましたが、UTDと比べてドラグの滑り出しが大幅に向上したのは紛れのない事実です。
TD、UTDが採用されていた時代は、単板ドラグを「フィネストーナメントドラグ」、多板式を「ハイパートーナメントドラグ」と呼んでいました。
ATDになってからは、ドラグの滑り出しが大幅に向上されたためか、あまりフィネスドラグ・ハイパードラグとは分けて呼ばれなくなりました。
UTDが主流だった当時は、「RCS フィネスドラグアダプター」という、多板ドラグを単板ドラグに変更するカスタムパーツがあったほどです。
(2500番以上のスプールでライトラインを用いる釣り用)
【従来機】 2500番台スプールのドラグ特性
ややこしいのが、単板式と多板式の両方が採用されている2500番台のスプール。
2500番台には、主に「2500」、「2506」、「2508(PE)」、「2510(PE)」があります。
その他、バスフィッシング用の「2505」など。
それぞれのドラグ特性、ラインキャパがこちら。
番手 | ドラグW構成 | 最大ドラグ力 | 巻糸量(ナイロン) | 巻糸量(PE) |
2506 | 単板式 | 3kg | 6lb-100m | 0.8号-130m |
2508PE | 多板式 | 7kg | 6lb-120m | 0.8号-150m |
2510PE | 多板式 | 7kg | 8lb-150m | 1.0号-200m |
「2500」は主に餌釣り向けのため省略
「2506」は、浅溝スプールが登場し始めた初期からある番手で、主にバスフィッシング、エギング向けのライトライン仕様。(単板式)
後発の「2508」、「2510」は、末尾にPE表記が付き、PEラインに適したラインキャパのエギング、シーバス向けの番手。(多板式)
「2508」が追加されて以降は、「2508」がエギングの主流となりました。
【LTコンセプト機】 LT2500番台スプールのドラグ特性
次にLTコンセプト以降のリールで単板と多板ドラグが混在するのが、新規格となる「LT2500」。
従来機2500番(φ48mm)と同径のLT3000(φ48mm)は多板ドラグが標準になりました。
LT2500番台は、「LT2500S」、「LT2500」、「LT2500D」の3種。
末尾S=シャロースプール、D=ディープスプールとなります。
それぞれのドラグ特性、ラインキャパがこちら。
番手 | ドラグW構成 | 最大ドラグ力 | 巻糸量(ナイロン) | 巻糸量(PE) |
LT2500S | 単板式 | 5kg | 4lb-150m | 0.6号-200m |
LT2500 | 多板式 | 10kg | 6lb-150m | 0.8号-200m |
LT2500D | 多板式 | 10kg | 12lb-150m | 1.2号-300m |
注意点として、従来機と比べて最大ドラグ力が1.5倍ほど向上しました。
これは従来機と構造が変わり、ドラグノブ・ワッシャー面積が拡がったからとのことです。
実際のところ、汎用スピニングリールにおいて、ドラグを最大まで締め込むことはまずないため、最大ドラグ力の向上はあまり意味がありません。
基本的に単板式と多板式のドラグ特性の違いのみを考慮すべきです。
浅溝スプールの「LT2500S」は単板式が標準なのですが、例外として、2020年2月現在で唯一「18 フリームス LT2500S-DH」のみ多板式となっています。
カタログスペックの誤植かと思いましたが、実機で確認済み。
こういった例もあるので、購入の際には最大ドラグ力値をチェックしておきましょう。
最大ドラグ力が向上したとはいえ、単板ドラグのスプール(リール)では、シーバスやフラットフィッシュ、小型青物など相手に難儀します。